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富士経済は、メタボリックシンドロームに着目した本格的な生活習慣病予防のための健診事業で沸きあがる国内の生化学検査薬市場を調査した。調査は、メタボ健診における生化学検査8項目と生化学検査関連装置5品目(メタボ健診関連検査)について、今年103月に調べられた。富士経済ではその調査から、2008年のメタボ健診関連市場は、検査数が12億6800万件(前年比4・2%増)、生化学検査薬市場は259億円(6・6%増)と、今後も継続的に拡大していくものと見込んでいる。
4月から特定健診・特定保健指導を義務づける、いわゆるメタボ健診が開始された。メタボ健診として行われる生化学検査は、[1]中性脂肪[2]HDLコレステロール[3]LDLコレステロール[4]GOT[5]GPT[6]γ”GTP[7]空腹時血糖[8]HbA1c‐‐の8項目。そのうち、空腹時血糖とHbA1cを除く6項目が必須で、空腹時血糖とHbA1cについては、どちらかを選択して必須とすることになった。血糖検査については、検査コストは比較的高いものの、HbA1cを選択する健診実施機関が多いと見込まれている。
それらのメタボ健診関連検査市場について調査した結果、特定健診・特定保健指導の開始によって、検査数は07年の12億1690万件から、08年には12億6800万件へと4・2%増加し、検査薬市場も243億円から259億円と、6.6%拡大すると予測している。メタボ健診関連検査を除く生化学検査の検査数は年率1%程度の微増で、その検査薬市場は微減しているのに比べると、その差は歴然としている。
また、今後のメタボ健診関連検査市場については、09年は前年比5%台の拡大を予測しており、まだ目だぼ健診の実施に十分な準備が整っていない自治体も見られることから、検査数の拡大は数年にわたって進むと見られている。09年以降については、09年が「検査数13億3190万件、検査薬市場270億円」、10年「13億7310万件、286億円」、11年「14億0200万件、290億円」、12年「14億2180万件、290億円」、13年「14億3950万件、288億円」と、富士経済では予測している。
■注目される検査項目は「LDL」と「HbA1c」
メタボ関連健診として、今後の動向が注目される検査としては、「LDLコレステロール」と「HbA1c」が挙げられた。
LDLコレステロール値は、虚血性心疾患や脳血管障害などの発生と相関することから、動脈硬化の指標となっているが、以前は簡便に、直接LDLコレステロールを測定する方法がなかったことから、総コレステロールとHDLコレステロール、中性脂肪の値から算出されていた。しかも、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールの3項目のうち、同時測定で保険請求できるのは2項目に限られていたことから、LDLを直接測定できる検査法が開発された後も、LDLコレステロール検査の普及は鈍かった。
しかし、ここ数年、これまで多くを占めていたHDLコレステロール検査の伸びが鈍化し、LDLコレステロール検査数が急激に伸びてきている。07年の検査数は6670万件で前年比21.5%も増加した。高脂血症患者の評価にLDLコレステロール値が採用されたことや、LDLコレステロールを低下させるスタチン系薬剤の効果判定に採用されるなどが大きな背景となっている。そのため、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロールの3項目を同時に実施するケースが増加している。
さらに、08年については、メタボ健診の必須項目となったために拡大が見込まれ、富士経済では検査数として8330万件、前年比24.9%と大幅に増加すると予測した。
血糖検査については、空腹時血糖検査は患者管理などの手間がかかるため、HbA1cを選択するケースが多い。そのため、検査数の増加が見込まれると分析した。HbA1cの測定法には、HPCL法と酵素法のほか、免疫学的手法のラテックス定量法があり、HPLC法は病院を中心に、ラテックス定量法は検査センターで主に用いられている。
07年では、免疫的手法によるものも含めた検査数は前年比14.0%増の1億3700万件、診断薬市場は前年比9.1%増の97億7200万円だった。検査数の40%、検査薬市場の54%がHPLC法と酵素法の生化学的手法によるもので、今後は、メタボ健診で大量の検査をすることとなるため、ラテックス定量法、酵素法の検査数が大きく伸びて、免役的手法による検査のウエイトが高まると予想。また、健診で発見された患者・要指導者の定期的な検査では、検査精度に優れるHPLC法が採用されるケースが多くなるため、これまでに比べHPLC法の検査数の伸びも高くなると見込んだ。
その上で、HbA1c全体の検査数の伸びのピークは08年、09年頃とし、この2年でそれまでに潜在していた健診人口が顕在化し、それ以降は検査数の伸びが徐々に鈍化するとの見込みを示した。
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