特許庁が日米欧などの特許出願動向を毎年度調べている「特許出願技術動向調査」で、2007年度は「幹細胞技術」が取り上げられた。このほどまとめられた調査結果によると、出願件数シェアは米国が50%以上と圧倒的だが、日欧が追撃。80097年に7%のシェアだった日本は、98003年には14%と倍増させていた。また日本は、この分野の国別論文数で米国に次いで2位で、基礎研究レベルの高さをうかがわせた。特許出願、論文数とも日本の躍進がみられるが、この分野は産業応用を視野に国際的に競争が激化しており、基礎から応用への展開、積極的な海外出願への取り組みが迫られる結果となった。
調査では、第3期科学技術基本計画で重点分野とされたライフサイエンスなど8分野を中心に、出願件数の伸びが大きいテーマや、今後の進展が予想されるテーマが選定された。
80005年までの日本、米国、欧州、中国、韓国へのそれぞれ出願件数からまとめたシェアは、米国が56%、次いで欧州19%、日本は3位の13%だった。
ただ米国は、欧州や日本の出願件数増加でシェアの低下傾向がみられている。80097年に68%あったシェアは、98003年には53%に減少。一方、欧州は17%から20%、日本は7%から14%へと増加している。しかし、日本は国内出願が中心で、欧米ほか中国、韓国を含めた海外出願件数は、他国に比べ極めて少ない。
論文数シェアに関しては、やはり米国が圧倒的シェアを占めていたが、近年は50%を切り、80006年では40%。欧州は概ね3割程度で推移している。それに対し、日本は論文件数を着実に伸ばし、一桁から12%まで伸ばした。国別論文数では日本は2位で、トップの米国5882件に次ぐ1724件。細胞分化の制御など基礎分野が多く、基礎研究レベルの高さをうかがわれる。
これら結果から特許庁は、基礎研究を産業応用につなげる研究開発の必要性を指摘。また、積極的な海外出願を求めると共に、iPS細胞については、周辺技術も含めた「知財ポートフォリオを形成していくなど、戦略的な特許出願を行うことが重要である」とした。さらに、幹細胞研究の中心が世界的にも大学・公的研究機関が中心であることから、日本でもそれら研究機関に知財の視点を持つ人材の確保が必要だとした。
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