旭硝子は、今後のバイオ薬市場の伸びを見込み、千葉県市原市の千葉工場内に組み換え蛋白質の製造設備の増設を決め、10月にも着工することになった。3000リットル規模の培養設備も含む新工場は、バイオ医薬品原体受託製造専業メーカーとしては国内最大級で、cGMPにも対応。2008年7月の商業生産開始を目指す。
新設備は、各種の微生物をベースとした発現系による組換え蛋白質の生産に対応するもの。同社は神奈川県横浜市の中央研究所内に300リットル規模の培養設備を持つが、今回増設する設備ではその10倍に相当する規模となる。
同社は、バイオ薬市場の今後の伸びや、国内外からのメーカー、ベンチャー企業で高まる需要に応えるには現有設備ではまかないきれないと判断し、設備増設に踏み切った。投資額は「数十億円」としている。
今回の設備増設によって「発現系開発ステージから、上市品の量産に至るまでの、あらゆるステージで組換え蛋白質製造に関するニーズにお応えする、ワンストップショップ体制を実現できる」としている。
同社は、2000年からバイオ医薬品原体の受託製造事業を始め、05年の事業規模は約10億円。独自の分裂酵母を利用した蛋白質発現システムである「ASPEX」を活用し、中央研究所内のパイロットプラントを活用し、バイオ薬原体である各種蛋白質の製造プロセスの開発および治験薬の製造を中心とした事業を、「ASPEX事業推進部」を設置して展開してきた。
今回の設備増設による成長見込みは明らかにしていないが、「多様化する委託先メーカーのニーズにフレキシブルに対応できる生産体制を整えることで、蛋白質製造分野でのナンバーワン企業を目指す」としている。