武田薬品は28日、米アボットとの合弁会社である「TAP社」との間の利益配分をめぐり、大阪国税局から課せられた追徴課税約570億円について、法令に則り更正処分の取り消しを求める方針を明らかにした。
大阪国税局は、武田薬品とTAP社との間で2000年3月期から05年3月期の6年間の製品供給取引に関して、武田薬品が不当に安くTAP社に製品を譲渡し、海外に利益を転移したとして、武田薬品に「転移価格税制に基づく更正通知書」を送付した。更正された所得金額は6年間で1223億円で、追徴課税は地方税等を含め、合計約570億円に上る。
一方、武田薬品では、[1]TAP社に所得を移転する意図、動機が全くない[2]当該取引価格は、米国における合弁パートナーたる第三者の同意なしには決定し得なかったもので、その実質において独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきではない[3]武田薬品およびTAP社間の利益配分は適正であり、当局が算定した当社およびTAP社間の利益配分額は、合理的とは考えられない‐‐を根拠に、法令に従って更正処分の取り消しを求める方針を明らかにした。
具体的な更正処分の取り消し方法は、日本と米国の当局が話し合いを持つ相互協議または国内法による救済処置がある。国内法による救済処置は、まず、武田薬品が国税局に異議申し立てするか、国税不服審判所に審査請求を行う。これらの処置が認められない場合は、裁判所に訴訟を提起するというもの。
吉田豊次取締役コーポレートコミュニケーション部長は、「こちらの主張が取り入れられていないので、しかるべき処置を取りたい」とコメントした。