医薬情報担当者教育センターは、医療関係者(医師・薬剤師)と製薬企業関係者(MR・管理職)の意識対比アンケートを初めて実施し、「MRに関する調査報告書」としてまとめた。報告書によると、MRの情報提供活動に対する期待では、医療関係者は基本情報を求め、薬物治療の具体的提案は強く求めていないのに対し、製薬企業側は薬物治療の具体的提案や医療連携の具体的支援が重要との認識を示している。また、面談アポイントの必要性、好ましいMR像、認定証の提示などでも、両者間で認識に差のあることが明らかになった。センターでは、こうしたギャップが医療機関の訪問規制、面会の困難化を招いている原因ではないとしながらも、これらの課題を一つずつ解決することでMRの情報活動が改善され、資質向上につながることを期待している。
アポイントの必要性については、医療機関側は医師の25%、薬剤師の13%が「必要」と回答しているのに対し、製薬企業側は一般MR3.9%、領域別MR2.8%、管理職4.5%と、いずれも5%以下の低い数値であった。
好ましいMRとしては、医療関係者側は「自社医薬品・競合医薬品の知識が豊富」「信頼がおける」「誠実である」などの項目を重視し、「自分(医療関係者)の話しをよく聞いてくれる」は2割程度に過ぎなかった。一方、製薬企業側は、「信頼」「誠実」「相手の気持ち・ニーズを理解できる」の回答率が高いほか、「医療関係者の話をよく聞くことができる」も7割以上に達し、この点で認識に大きな乖離のあることが分かった。
MR活動の満足度(評価度)では、自社医薬品・競合医薬品、副作用情報の提供・収集、説明技術、コミュニケーション力など、何れの項目でも両者とも低いが、MRでは訪問時マナーが他の項目比べて高くなっている。医療機関側が不満に感じることでは、「自社に都合のよい情報に偏重」「売り込み意図が強すぎる」「情報が製品情報概要程度の内容」などが多く指摘され、特に薬剤師で顕著であった。
MR認定証の提示については、医療機関側からは「認定取得明示のネームプレートを常時着用すべき」「認定の有無を名刺に明示すべき」との回答がそれぞれ3割以上だったのに対し、製薬企業側では1割程度となっている。「認定証は常に携帯し、提示できるようにしておくべき」は、常時着用に比べ消極的で、必要に応じて提示する考え方だが、これで良いとの意見は医療機関側が約1割なのに対して製薬企業側は405割、また「認定証の有無はあまり関係ない」は同じく2割弱に対して204割であり、両者間で認識のギャップが極めて大きい結果となった。
センターでは、認定MRの認知度が定着してきており、製薬企業側は医療機関側の求めに応じて、認定証の提示を前向きに検討する必要性があるのではないかと指摘している。
なお、医薬品情報の重要性に関しては、医療、製薬企業側双方とも95099%という高いレベルで認識が共通している。
この調査は昨年末に7060人を対象に郵送で実施され、回収率は製薬企業が79・3%、薬剤師57・1%、医師9・7%、全体では36・5%だった。