◆生体内で血管を拡張して血流量を増加させるなどの役割を担うNO(一酸化窒素)が、蛋白質を組み立てる酵素「蛋白質ジスルフィドイソメラーゼ」(PDI)と結合すると、アルツハイマーやパーキンソン病などを引き起こす一因になることが、北海道大学と米国研究機関らの共同研究で明らかになった
◆研究は北大薬学研究院の上原孝助教授や米バーナム研究所神経科学老化センターで行われたもの。PDIは生産された蛋白質を正しい構造に組み立てたり、細胞内の異常蛋白質を特異的に分解・修正し正常な蛋白質量を保つ等の機能を持つ
◆上原氏らがラットの神経細胞を用いて行ったPDIとNOの結合実験では、PDIの異常蛋白質補修機能が半分以下に低下した。さらに、孤発性アルツハイマーやパーキンソン病で死亡した11人の患者の脳を分析したところ、全ての患者の脳からNOと結合して機能低下を来したPDIが検出された
◆NOと疾患の関わりは近年、高血圧症やフリーラジカルが関与する癌・動脈硬化等で注目されてきた。今回の研究でNOと神経細胞変性のメカニズムが示されたが、アルツハイマー病等の早期診断、新薬開発の新しい切り口になることを期待したい。
蛋白質ジスルフィドイソメラーゼと一酸化窒素が結合すると
2006年06月21日 (水)
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