パーキンソン病患者の8割以上が抑うつ症状を経験していることが、欧州パーキンソン病治療実態調査で分かった。医師の半数は、しばしば抑うつ症状をきたすことを認識しながら診断の難しさを指摘し、患者の4割はこの症状をほとんど相談したことがなかった。抑うつ症状は患者、介護者にとって対応が難しいとされるが、その抑うつ症状が治療に結びつかないおそれがあることが示唆される結果となった。
パーキンソン病に伴う抑うつ症状は、運動症状により引き起こされるものではないが、疾患の病態の一つといわれる。運動症状に先立って現れることもあるという。
仏トゥールーズ大学臨床薬理学のオリヴィエ・ラスコール教授は「医師と患者の間に大きな隔たりがあり、気分障害はしばしば発現し、生活の質に影響を与えるが、患者と医師の間では常に話し合いがもたれているわけではないことが分かる」と指摘した。
調査に協力した欧州パーキンソン病協会のマリー・ベーカー代表は、「運動症状だけでなく、抑うつ症状など気分障害が原因で普通の日常生活を送ることが難しいことが感じることが少なくなく、また、介護者にとっては抑うつ状態にある患者が最も苦慮することが確認された」としている。
実態調査は、欧州パーキンソン病協会の協力のもと仏独伊英スペインの5カ国で、軽度0中等度の患者500人と専門医500人を対象に実施されたもの。