衆議院予算委員会は26日、社会保障問題に関する集中審議を行い、その中で社会保障関係予算の2200億円の削減問題が取り上げられた。今日の医療現場の疲弊を改善するためにも、毎年の2200億円削減は止めるべきとの質問に対し福田康夫首相は、「社会保障の質を下げることになり、自ずと限界はある。きめ細かい点検は必要だが、なかなか難しい段階に来ている」との認識を表明した。社会保障制度のための財源として「消費税は適当」としたものの、あくまでも今後の税制改革の検討課題だとし、社会保障の財政・財源のあり方を含め社会保障国民会議で議論したいとの意向を示した。
前原誠司議員(民主党)、糸川正晃議員(国民新党)らの質問に答えたもの。療養病床の見直しによる患者追い出しの恐れや、小児、救急医療現場での疲弊の背景には、社会保障関連予算の2200億円削減があると指摘。前原議員は、医療を立て直すには2200億円のキャップを外して、あるべき医療制度を考え、その上で財源問題を考えるべきと質した。
福田首相は、高齢化に伴い社会保障費も増えるため「歳入・歳出一体改革の対象にせざるを得なかった。しかし、これをずっと続けるのはなかなか難しいと思う。社会保障の質を下げることになり、自ずと限界はある。きめ細かい点検は必要で、もし切り過ぎなら増やす方向に、削減できるところがあるなら削っていく努力は必要だが、なかなか難しい段階に来ているという認識は持っている」と答弁した。
糸川議員の質問への答弁に立った大田弘子経済財政担当相は、歳入・歳出改革を継続する必要性を指摘しつつ、「医療の本来の機能を損なってまで、財政を健全化するものではもちろんないので、一律に削減するとか、金額の規模だけにこだわった改革をすることはあってはならない」と、今後に含みをもたせた。
ただ、薬の過剰投与の改善や電子化の促進など、医療分野は効率化できる余地があるとも指摘し、効率化と共に「メリハリをつけて努力していくことが必要だと考える」と答えた。その上で、「それでもなお賄いきれない費用は、負担増を国民の選択で検討しなければならない」と述べた。
舛添要一厚生労働相は、改めて健保組合などによる政管健保の国庫負担削減分の肩代わりなど、2200億円の削減を無理して捻出したとして「(削減は)本当に限界に達している。消費税の増税を含め国民的議論が必要だ」と指摘した。
その消費税の取り扱いについて福田首相は、「社会保障制度を持続可能な形で維持していくため、安定した財源、あらゆる世代が分かち合うということを考えると、消費税は適当な財源なのかなと思う」と述べる一方で、「消費税を含め税制改革を考える中で検討すべき課題であって、今、何か特定しているわけではない」と、あくまでも今後の検討課題であることを強調した。