大正製薬は12日、ビオフェルミン製薬(本社神戸市、社長大西章史氏)に対し、TOB(株式公開買い付け)を実施することを発表した。3月11日まで、1株3620円でTOBを実施し、最大で発行済み株式の62%(約753万株、約272億円、議決権比率の64・42%)を取得し、連結子会社化する。ビオフェルミン製薬の筆頭株主である投資会社のTZCS(約4割を保有)からは、全所有株についてTOB応募への同意を得ているという。大正製薬では、ビオフェルミン製薬を傘下に収めることで、新製品や研究開発のコラボレーションを進め、整腸薬分野の強化を図っていく考え。
大正製薬は現在、創業100周年に当たる2012年度を目標年度とする中期目標の達成に向け、主力のセルフメディケーション事業(OTC医薬品及び健康関連商品等)の拡充、医薬事業(医療用医薬品等)の強化に注力している。これまでも研究開発やマーケティング、販売体制等でシナジー効果が発揮できるような提携に取り組んでおり、直近では05年に養命酒製造と業務・資本提携を結び、両社のノウハウを生かした新製品の共同開発に取り組んでいる。
一方、ビオフェルミン製薬は1917年の設立以来、活性乳酸菌製剤「ビオフェルミン」の製造販売に特化し、その売り上げの6割強を一般向け製品(OTC、医薬部外品)が占める。創業90周年を迎えた昨年の業績は非常に好調であったものの、この順調な時期にこそ将来の持続的成長に備えた戦略的提携が必要であると判断。12日の取締役会でTOBへの賛同を決議した。
両社によると、今年1月頃から業務提携の可能性について具体的な検討・協議を続け、その結果、両社のさらなる事業成長及び事業基盤の強化を実現していく上で、資本提携を通じて、双方がこれまで培ってきた研究成果・経営資源を相互に有効活用していくことが最善の選択肢であるとの共通認識に至ったという。
大正製薬では、現時点で想定されるシナジー効果として、(1)大正にはない乳酸菌技術・ノウハウを活用し、双方の強みを融合した商品開発、製品ラインナップの充実(2)未知の分野、新用途における研究開発のコラボレーション(3)双方の生産技術を効果的に融合した生産性の向上(4)資材等の共同調達・経費削減など――としている。なお、今回のTOB成立後も引き続きビオフェルミン製薬の株式上場(大証1部)は維持する方針。