武田薬品は4日、米バイオ医薬品大手のアムジェンの日本法人を買収すると発表した。譲渡契約では、アムジェンが保有する癌、炎症、疼痛などの疾患領域におけるバイオ医薬品を中心とした臨床開発品目のライセンス契約を含んでいる。
武田薬品では、激化する抗体医薬の開発競争に対応するため、03年にキリンとのヒト抗体作製技術に関するライセンス契約を結んだのを皮切りに、数々の抗体作製技術の導入を進めてきた。昨年11月には、米国で同社グループの抗体医薬研究機能の中心的役割を担うタケダサンフランシスコを設立するなど、抗体医薬創製のための基盤を整えている。
今回の日本法人アムジェンの買収も、その基盤強化の一環で、契約に基づき、アムジェンは、日本法人アムジェンの全株式を武田薬品に、08年3月末をメドに譲渡する予定。株式譲渡後、日本法人アムジェンは、武田薬品の100%子会社としてアムジェンが武田薬品に導出した品目の開発業務を主に担当する。
今回のライセンス契約では、抗癌剤のmotesanib diphosphate (AMG706)、panitumumab (米国製品名:ベクチビックスTM)を含む13の品目が契約対象となっている。そのうち1品目については、今後、最終的に契約対象とするかどうかを決定する見込み。motesanib diphosphate以外は、抗体医薬などのバイオ医薬品だ。
ライセンス契約に基づいて、武田薬品はmotesanib diphosphateに関する、日本での独占的開発・販売権および海外でのアムジェンとの共同開発・販売権を獲得する。同剤の開発に当たり、武田薬品はアムジェンに契約一時金2億米ドルを支払うと共に、日本における開発費用全額と海外における開発費の60%を負担する。
また、最初と2番目の効能取得にかかる開発の進捗に応じ、最大1億7500万米ドルのマイルストン、日本での販売額に応じたロイヤルティをアムジェンに支払う。海外販売から得られる利益については武田薬品とアムジェンが等分する。
Motesanib diphosphate以外の品目については、武田薬品が日本での独占的開発・販売権を獲得する。これらの品目の開発に当たっては、武田薬品がアムジェンに契約一時金200百万米ドルを支払うと共に、日本における開発費全額と、海外における開発費の一部を最大3億4000万米ドルまで負担する。
さらに、開発の進捗に応じ最大3億6200万米ドルのマイルストン、販売額に応じたロイヤルティを支払う。なお、アムジェンは契約対象の全ての品目について日本におけるコ・プロモーション権を有している。
アムジェン社会長兼社長兼最高経営責任者のケビン シャーラー氏は、「今回の武田薬品との契約締結は、当社にとって今後10年間の成長を加速させるものである。当社の開発パイプラインが、日本ならびに世界中の患者さんにとって革新的な治療薬となりうると高く評価されたものと考えている」と述べている。
一方、長谷川閑史武田薬品代表取締役社長は、「アムジェン社から導入した品目は、当社の重点領域である癌、骨・関節疾患領域などにおける研究開発パイプラインの強化に資するものである」と今回のライセンス契約を高く評価している。
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2006年12月04日