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薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は30日、中外製薬が開発した抗体医薬「アクテムラ」に関節リウマチの効能を追加することなど、新薬4件の承認可否について審議し、いずれも了承した。3月の薬事分科会に報告され、早ければ4月中にも承認の運びとなる見通し。承認が認められた新薬は次の通り。
<審議品目>
▽アクテムラ点滴静注用80mg、同200mg、同400mg=中外製薬が製造販売
成分名は遺伝子組換えトシリズマブ。200mg製剤はキャッスルマン病の効能で承認されているため、この規格については一部変更承認。今回、80mgと400mgの2規格を加え、既存治療で効果不十分な場合に限り、[1]「関節リウマチ」(関節の構造的損傷の防止を含む)[2]オーファン疾患である「多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」「全身型若年性特発性関節炎」――という新たな効能が追加された。関節リウマチの効能は、欧米では現在申請中で、日本が世界で最初に承認される方向となった。
トシリズマブは、「抗ヒトインターロイキン(IL)‐6受容体モノクローナル抗体」で、炎症に関与するIL‐6の作用を抑えて治療する。原体・製剤とも劇薬。再審査期間は、オーファン効能のため5年10カ月。免疫低下による感染症の懸念があるため、市販後の全例調査が承認条件として付された。中外は2006年4月に日本で申請し、優先審査(特発性関節炎)、迅速審査(関節リウマチ)の扱いとなっていた。
▽ポプスカイン0・75%注75mg/10mL、同0・75%注150mg/20mL、同0・25%注25mg/10mL、同0・25%注バック250mg/100mL、同0・75%注シリンジ75mg/10mL、同0・25%注シリンジ25mg/10mL=丸石製薬が製造販売
成分名は塩酸レボブピバカイン。効能効果は0・25%製剤が術後疼痛、0・75%製剤が硬膜外麻酔。既に海外57カ国で承認されている。
従来の薬剤であるブピバカインはラセミ体であり、誤って血管内に投与すると、強い心毒性が発現する危険性があった。そこで安全性の観点から、S体のみを製剤化し、心毒性を低減させようとのコンセプトで開発された。有効性に関する試験では、比較対照薬ロピバカインと同等だという。原体は毒薬、製剤は劇薬に指定される。再審査期間は8年。
▽ジュリナ錠0・5mg=バイエル薬品が製造販売
成分名はエストラジオール。これまでの貼付剤、ゲル剤に、新たに経口剤を追加した。エストラジオール経口剤は海外でも広く使われている。更年期障害、卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュ及び発汗)、膣萎縮症状を効能・効果とする。再審査期間は6年。
▽エクジェイド懸濁用錠125mg、同500mg=ノバルティスファーマが製造販売
成分名はデフェラシロクス。効能効果は輸血による慢性鉄過剰症。再生不良性貧血など難治性の貧血には輸血が繰り返し行われ、その結果として体内に鉄分が過剰に蓄積し、肝臓や心臓などに機能障害を起こすという慢性鉄過剰症を治療する薬剤。体内からの鉄分排泄を促す鉄キレート剤が第一選択となるが、注射剤のため投与が不適当な場合もあることから、経口剤の登場となった。
原体・製剤とも劇薬に指定される。再審査期間は8年。海外でも使用されており、厚労省の未承認薬問題検討会からも申請が促されていたもので、ノバルティスは2007年3月に申請し、優先審査扱いとなっていた。
<報告品目>
▽ペンタサ錠250=日清キョーリン製薬が製造販売
成分名はメサラジン。潰瘍性大腸炎(重症を除く)とクローン病に対する小児用量を追加。
▽ワソラン錠40mg=エーザイが製造販売
成分名はベラパミル塩酸塩。効能効果に頻脈性不整脈(心房細動・粗動。発作性上室性頻拍)を追加。
報告品目の2成分はいずれも、今回認められた効能により既に医療現場で広く使用され、医学的な実績も認められているため、いわゆる「公知申請」扱いとなった。これら2成分は3月にも承認となる見込み。
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