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中外製薬の永山治社長は1月30日、都内で開いた決算説明会で、2012年に連結売上高4600億円、連結営業利益800億円の達成を目指す新中期経営計画「Sunrise2012」を明らかにした。大きな逆風の影響を見込み、売上成長予想、営業利益ともに見直しを迫られた格好だが、マーケティング・営業活動の高度化を課題に掲げ、既存製品の市場を防衛しながら新製品の価値最大化を狙う。
中外製薬は、05年に開始した中期経営計画「Sunrise2010」で、連結売上高4500億円、連結営業利益1000億円を掲げたが、永山氏は「現在の予測では、達成が2年遅れる見込みである」とした。特にタミフルの処方制限、アバスチンの予想を下回る薬価、エポジン競合品のシェア拡大など、大きな逆風の影響が予想されるため、「Sunrise2012」では営業利益の目標を、800億円と下方修正している。
永山氏は「収益的に厳しく、思い切った数字と考えている」と認めたものの、「開発品ポートフォリオは非常に充実している」と述べ、高成長の基調に問題がないことを強調した。
実際、ロシュとのアライアンスで、癌領域のパイプラインが充実化してきており、昨年には「アバスチン」「タルセバ」「コペガス」と新製品3品目を上市。自社開発の抗IL‐6受容体抗体「アクテムラ」も海外申請に至るなど、開発品ポートフォリオを強化してきた成果が開花しつつある。
そのため、「Sunrise2012」では、マーケティング・営業活動の高度化を大きな課題に挙げ、新たに3月から「ポートフォリオマネジメント委員会」「戦略マーケティング委員会」を立ち上げる。当面は、既存製品の市場防衛に力を注ぎながら、多くのプロジェクトを抱える癌領域を中心に、革新的新薬の価値最大化を目指していく考えだ。
特に永山氏は、新投入した分子標的抗癌剤について、「われわれが市場を作っていなければならない」と強調。積極的に新たな市場を掘り起こし、高成長を実現していく決意を示した。