関連検索: 未承認薬使用問題検討会議 厚生労働省 稀少疾病
厚生労働省の未承認薬使用問題検討会議は、ワーキンググループ(WG)から報告書が提出された、軟部肉腫に対する抗悪性腫瘍薬(注射剤)「トラベクテジン」(販売名=Yondelis、ファルママール)を審議したが、治験データの不備や対象となる患者群が未確定との理由から、確定的な評価は困難と結論した。ただし、対象疾患となる軟部肉腫は、稀少疾病で治療困難な病気であるため、今後のデータ発表を待ちたいなどの方針が示された。
軟部肉腫は国内での発生頻度が10万人に2人の稀な疾患。現在は、アントラサイクリン系のドキソルビシンと、アルキル化剤のイフォスファミドの2種の抗癌剤が単独または併用で治療に使われている。トラベクテジンの使用対象である切除不能・転移性の軟部肉腫に対する併用療法の奏効率は20030%、生存期間の中央値は10012カ月にとどまっている。
同剤は欧州医薬品庁(EMEA)で昨年7月に承認されている。標準治療に比べて特別優れているとは評価されず、アントラサイクリンとイフォスファミドの治療後に憎悪を来した、またはこれらの薬剤投与が困難な切除不能・転移性の場合に限り、「例外的に」承認する措置が採られると共に、企業に対し、軟部肉腫の中で特に有効な対象患者群の探索を行うことが条件に付されている。
米国食品医薬品局(FDA)では、第III相試験データの欠如や、対象患者群を絞る必要性があることから、承認には至っていない。米国での開発はヤンセンファーマが担当していたが、今後の開発のメドは立っていないという。
またこの日の会合では、昨年10012月に提出された未承認薬に関する患者会からの要望書提出状況が示された。
この中から次回会議に向けて、重篤化した場合に治療法のないポルフィリン症の治療薬「ヒトヘミン」(販売名=Normosang、オーファン・ヨーロッパ)をワーキンググループでの検討対象とすることにした。同疾患は、ヘム合成系酵素の遺伝的または後天的障害によってヘム合成が不十分となり、神経障害や皮膚障害などを引き起こすもの。ヒトヘミンはフランスほか欧州各国で承認され、有効性が認められている。
なお、要望書の中で、線維筋痛症治療薬「プレガバリン」(販売名=リリカ、ファイザー)は、「重篤で代替治療法がない」など、同検討会議での検討対象となる条件を満たしていないことから、正式な検討ルートとなるWGに取り上げないを決めた。
ただ、▽国内の線維筋痛症患者は200万人と推定され、患者会からの要望も強い▽全身性疼痛で日常生活に支障を及ぼす難治疾患である▽他の治療薬より有効性が高い””などを考慮し、同検討会として企業に開発を促すことした。
同剤は、米国で線維筋痛症の効能効果では昨年6月に承認。EUでは中枢性神経性疼痛など他の効能効果で承認済みだが、線維筋痛症の効能追加に向け臨床試験中だ。
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