
発達障害の一つの注意欠如・多動症(ADHD)への安易な薬物療法は控えるべき――。塩野義製薬とシャイアー・ジャパンが都内で開催した討論会に参加したパネリストらは、ADHDの確定診断を受けた児童に対してすぐに薬剤が処方される傾向に否定的な見解を示し、児童やその親に対する社会的支援を優先する必要性を訴えた。薬物療法の対象となるのは、非行やうつ病の併発といった二次障害が懸念される重症の児童とできる限り範囲を限定し、教育現場を中心にADHDへの支援体制を構築し、問題解決を図るべきとの意見で一致した。
教育現場の立場から日本学校心理学会の石隈利紀理事長は、ADHDが疑われる児童について、「学校や医療機関、社会福祉法人と連携して支援する段階的な対応が必要である」と指摘。ADHDと疑われる児童を受け持つ担任教諭に対しては、「保護者に病院への受診を勧める前に、教育現場でどういった支援体制を取っているかを伝えてほしい」と述べ、それでも医療機関への受診が必要と判断した場合には、「受診を勧めるべき」との考えを示した。
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