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国際共同治験‐“第一歩”踏み出す時期

2008年01月29日 (火)
国際共同治験推進会議

国際共同治験推進会議

 「国際共同治験推進会議」が、浜松市のアクトシティ浜松で開かれ、医療機関と製薬企業関係者を中心に500人以上が参加した。会議では、医療慣習や文化、言語の違いが大きな壁になっている現実が指摘されたものの、国際共同治験を経験した医師やCRC、製薬企業からは「まず実際に第一歩を踏み出し、経験を積むことが大切」との前向きな意見が相次ぎ、国際共同治験に参加する機運が高まってきたことをうかがわせた。

 楠岡英雄氏(国立病院機構大阪医療センター)は、医療機関の立場から発言。2002年当時に国際共同治験に参加した経験を踏まえ、「5年前に比べると治験の質、スピード、コストについての意識は変化したが、依然として日本では症例登録の遅れが目立つ」と課題を指摘した。国際共同治験では、タイムラインを遵守するためのスピードが特に求められるだけに、日本の症例集積性の低さが問題点として挙げられた。

 もう一つ大きな問題として楠岡氏は、「言語の壁」を挙げ、治験実施担当者は、症例報告書(CRF)や治験薬管理表が英文表記であることを負担に感じているとした。設備・運用面でも、国際電話回線を設置する必要があったり、なじみのない音声応答システム電話(IVRS)の使用、コミュニケーションの遅れなど、海外とのやりとりに多くの労力が費やされる点を指摘。院内でも内服薬がボトル包装のため、多くの保管スペースをとるなど、様々な課題が挙げられた。

 ただ楠岡氏は、「国際共同治験の問題は、多くが医療慣習、医療制度の違いによるものであり、直ちに是正できるものではない」と強調。「これらは経験して初めて知ることなので、やはり国際共同治験の数を多くこなし、それに基づく情報交換によって問題を改善していく必要がある」と語った。

 前川平氏(京都大学病院輸血細胞治療部長)は、自ら関わったトランスレーショナルリサーチの経験をもとに、「グローバルスタディに早期に入っていく決断が必要」と訴えた。特に、スピードの遅さやコストが国際共同治験のボトルネックになっていると指摘。「いかに第I相試験をグローバルで実施していくかが大切になる。タイムラインやリスクをどう取っていくかは、少しの工夫でできるのではないか」との考えを示した。

 規制当局の立場から、森和彦氏(医薬品医療機器総合機構審議役)は、昨年度で国際共同治験に対する対面助言が100件を超えた現状を紹介。「初めてのヒト試験(First In Man)の相談も増えてきている」とした上で、「欧米と同時に治験を始めるにしても、日本には高度な第I相試験に対応できる施設がほとんどない」とし、初めてヒトに投与するような難しい試験の場合は、それに見合った高度な施設で実施すべきとの考えを示した。



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