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帝人は28日、都内で記者会見し、新社長に専務取締役CSOの大八木成男氏(医薬医療事業グループ長兼帝人ファーマ代表取締役社長)を内定する人事を発表した。6月20日に予定される定時株主総会後の取締役会で正式に決定する。現社長の長島徹氏は、代表権のない取締役会長に退くことになった。
会見で長島氏は、社長交代の理由について、「社長として6年間、グローバル化の進展、拡大に努めてきたが、65歳という年齢的なこともあり、ちょうどいい時期と判断した」と説明。「4月から始まる2008年度は、中期経営計画の最終年度に当たる。その詰めを大八木新社長にやってもらい、7月からの次期中計策定を中心となって進めてほしい。私も会長として社長をサポートしたい」と託す気持ちを語った。
新社長内定の決め手については、「明るさと積極的に物事を仕掛ける行動力に富んでおり、心も含めてキャパシティーが広い」ことを評価したと説明。「この1年間、CSOとして経営企画に携わってきたこともあり、能力も踏まえて決定した」と話した。
一方、新社長に就任する大八木氏は、「社長就任を打診されたのは1月18日だったが、最初は呆然として2日間の猶予をいただいた」と経緯を明かした上で、「私は31年間、医薬に関わってきたので、最後まできちんと事業を仕上げたいと思っていた。しかし、引き受けた以上、大役だが力を尽くして頑張っていきたい」と就任への決意を語った。
また、長年携わってきた医薬事業については、「帝人ファーマの次の一手は、在宅医療事業の世界展開だ。既にニューヨークに拠点を作ったので、これから欧米、アジアで積極展開を図っていく」との方針を強調すると共に、素材事業についても触れ、「医薬事業は、新薬のタネとなる開発パイプラインが充実していなければ市場から去らなければならない。それは素材事業についても同じことが言える」と指摘し、帝人としての“新事業パイプライン”を生み出すことが創造経営につながるとした。
さらに大八木氏は、繊維事業に不安がないか問われると、「不安はない」と断言。「帝人はコングロマリットとして新領域にチャレンジしてきた。入社当時から新規事業に関わってきた私の経験からも、同じ領域からはイノベーションは出てこないと思っている。帝人の強みである様々な技術をどう組み合わせていくかが課題だ」と強調した。
大八木氏は、1947年生まれの60歳。慶應義塾大学経済学部卒業後、71年に入社。医薬営業企画部長、帝人グループ専務執行役員医薬事業本部長を経て、2003年に帝人ファーマ代表取締役社長に就任するなど、一貫して医薬畑を歩んできた。