矢野経済研究所は、ジェネリック医薬品(GE薬)に関する実態調査結果を報告書にまとめた。 調査は昨年11012月にかけて、診療所の医師725人、300床以上病院の医師906人を対象にアンケート方式で実施。メーカー評価のほか、使用実態、選定基準などを聞いた。回答率は診療所76%、病院19%だった。
結果を見ると、何らかのGE薬を採用している医療機関は約8割に達し、診療所が73.8%、病院が89.2%だった。民間病院、国公立大学病院、国立病院、自治体病院では90%を超えているものの、私立大学病院は58.3%と低く、「採用を考えていない」も25%に上った
採用動機のトップは「患者負担の軽減」で75.0%、次いで「薬剤費の低下」としたのが48.8%だった。ただ、病院の場合は7割近い施設が「薬剤費の低下」を挙げており、病院経営の観点からのGE薬採用がうかがえる結果となった。
GE薬の採用基準としては、患者負担の軽減につながることがトップで、次いで「安定性」「生物学的同等性」「病院経営への寄与」となっている。矢野研は「他施設での採用状況」という回答も約4割あることに注目、中小病院の場合は、国立病院や大学病院などの基幹病院で採用された薬剤を採用する傾向があると指摘した。一方、使用経験がなく、今後も使用しないと宣言しているところが、診療所で14.5%に上った。
昨年7月に追補収載された後発品の採用トップ3は、ハルナール(排尿障害改善薬)、ベイスン(糖尿病治療薬)、キネダック(糖尿病性末梢神経障害治療薬)のGE薬だった。
メーカーの評価は、売上高、MR数などから主要GEメーカー16社を抽出し、厚生労働省研究によるGEチェックリストに基づいて、品質や安定供給などを点数化して行った。その結果、第1位はエルメッドエーザイで、沢井製薬、東和薬品、ニプロファーマ、日医工の順となった。
矢野研は、エルメッドとニプロに注目。エルメッドは速崩剤など、ニプロの場合はシリンジ型キットなど、いずれも付加価値製剤の提供が高い評価につながったと分析している。
GE薬の採用率では、トップが沢井で、東和、日医工、メルク・ホエイ、大洋薬品工業と続いており、GE薬メーカーの売上高と、ほぼ同様の順になっている。施設形態別では、診療所はほぼこの順だが、病院ではメルク・ホエイがトップの座についている。