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糖鎖技術の産業化推進を目指す「糖鎖産業技術フォーラム(GLIT)」が23日に設立された。産業技術総合研究所とバイオインダストリー協会が中心的な役割を果たし、産官学連携のもとで、世界をリードする糖鎖研究の関連技術を産業展開する。同日、つくば市内で設立宣言したGLIT運営委員長の成松久氏(産総研糖鎖医工学研究センター長)は、「医療に役立つ研究成果を出せば、産業に結びついていく。ぜひ、GLITのシステムを活用し、糖鎖の基礎技術を産業に利用してもらいたい」と結集を呼びかけた。
多くの蛋白質や脂質など付加する糖鎖は、生体内で様々な機能を果たしており、これまでの研究から、癌や感染症、免疫等に糖鎖が深く関与していることが明らかになってきた。そのため、糖鎖の機能解明は世界的に重要な研究テーマとされ、激しい先陣争いが繰り広げられている。
もともと糖鎖研究は、日本が世界をリードしている得意分野で、糖鎖の構造解析や機能解析、合成技術など、基礎研究を支える多くの技術が大学・研究機関、企業に蓄積されている。既に糖鎖研究は、世界的な実用化競争に突入する前段階に入ったと考えられているが、日本では、これら技術を産業展開する仕組みが十分に整備されていないのが現状だ。
そこで、糖鎖技術の産業化に向けた障壁を取り除き、実用展開を推進するために、新しい仕組みとしてGLITが設立された。GLITは、中心的な役割を担う産総研糖鎖医工学研究センター、バイオインダストリー協会と共に、日本製薬工業協会、基礎研究を推進する日本糖鎖科学コンソーシアム(JCGG)、理化学研究所などとも連携し、効率的に実用化を進めていく方針。
設立趣旨を説明した平林淳氏(産総研糖鎖医工学研究センター副センター長)は、糖鎖技術の産業化を阻む三大要素には「認識・市場・アプローチ」の欠如があるとし、特に市場の欠如に関しては、「一つの成功例が必要」と解決を訴えた。
今後、糖鎖市場の形成に向けては、産業化に入ったことを示す対外事例が出始め、先陣を切る企業やベンチャーが複数現れることなどが必要とされている。また、研究者相互の情報交換の機会が十分に設けられ、産官学が柔軟に動ける省庁連携、医工連携の機運が調うことも大きな条件となってきそうだ。
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2007年06月13日
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