東北大学大学院薬学研究科は2008年度から、処方設計に関して高度の実践的専門知識・研究能力や実務経験を持ち、薬の専門家として医師の処方設計に助言できる「次世代型専門薬剤師」を育成するための大学院教育システムを構築する。日本で初めて、欧米型の専門薬剤師を養成する教育システムの構築に取り組むことになる。事業は12年度までの5カ年間実施される。
事業構想は、教育システムの確立と共に、薬剤師が医師に協力して処方設計に積極的に関与できる新しい医療体制を東北大病院に導入するのが目的だ。
各診療科ごとに専門薬剤師を配置するのが理想的だが、今回はテストケースとして、「がん化学療法」と「生活習慣病」の2分野が選ばれた。専門薬剤師は欧米の例に習い、調剤業務は行わず、医師らと一緒に毎朝回診し、患者の主訴、病気の状態、各種検査結果を含めた患者の全体像を把握した上で、最適な処方を医師に提案することを主業務とする考えだ。
これらを担当する薬剤師については、同大薬学研究科に所属する教員(教授、准教授、助教)とし、院内に専門薬剤師の居室を設ける。さらに、医学系研究科敷地内には研究室(がん化学療法薬学分野、生活習慣病治療薬学分野の二つ)を設置し、処方設計に関する研究も行う。院内での実践と研究活動を通じ、主に大学院生を対象に処方設計に関わることができる高度な薬剤師育成システムの構築を目指すことにしている。
2分野のうち、「がん化学療法薬学分野」は教授として菱沼隆則氏(現薬物療法学分野教授)の就任が予定されており、4月から大学院生(薬剤師資格を有する修士課程または博士課程学生)を受け入れる。「生活習慣病治療薬学分野」に関しては、2009年度からの受け入れとなり、現在、担当教授等に関する選考委員会の設置準備が進められている。