エーザイは、薬の飲み忘れや過量服薬の防止、服薬管理を支援する服薬支援機器「eお薬さん」を薬局や医療機関、介護施設などに販売する。従来から認知症治療薬「アリセプト」の情報提供を通じた地域に根ざしたソリューションを展開してきたが、服薬支援機器を販売することでICTを活用したデジタルヘルス・ソリューションによる多職種連携支援サービスを訴求する。
「eお薬さん」は、1日最大4回(朝、昼、夕、就寝前)の服薬時刻を指定して、1週間分の薬をセットすることが可能。指定時刻になると、薬ケースが自動搬出され機器の前方に押し出されると同時に、音声と画面表示で服薬を促す。薬ケースを取らない場合はスヌーズ機能によって改めて音声で知らせると共に、指定時刻から40分経過すると薬ケースを回収し、次の指定時刻まで薬ケースが取り出せなくなるため、過量服薬の防止に役立つ。
また、「eお薬さん」の見守り支援機能を用いると、薬剤師や看護師、介護従事者、患者の家族などが、患者から離れた場所にいても、服薬のタイミングで電子メールを受け取ることができ情報共有が可能になる。クラウド上の専門サイトに服薬履歴が最大1年分保存される。
販売に先駆け、全国100カ所の薬局や医療機関、介護施設の協力のもと、在宅医療の現場や施設等でテスト機の実証実験を行った結果、服薬率の向上や過量服薬の防止、医療従事者の負担軽減が見られた。
「eお薬さん」の営業は代理店を通さず、エーザイのMRなど自前で行う。営業先は、医薬品の情報提供を通じて販路を培ってきた薬局をはじめ、医療機関や介護施設が対象となるが、特に服薬指導を行っている健康サポート薬局に積極的に提案していきたい考え。患者やその家族など、一般の消費者向けの営業は行わない。
エーザイのデジタルヘルス・ソリューションでは、スマートフォン向けてんかん患者支援アプリ「EMILY(エミリー)」を無料で配布しているほか、認知症のお出かけ支援ツール「Me-MAMORIO」を開発中。
【お詫びと訂正】
記事初出時、「スマートフォン向けてんかん患者支援アプリ『EMILY(エミリー)』を販売している」とあったのは、「無料で配布している」の誤りにつき訂正します。