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関西大学、大阪医科大学、大阪薬科大学は、3大学共同で生命科学分野の新学部を2010年4月にも開設する構想を明らかにした。昨年、文部科学省が打ち出した複数大学による学部の共同設置を認める方針を受けたもので、共同学部の設置表明は、全国で初めて。開設される共同学部は、医学、薬学、工学、看護学分野を横断的に学べるのが大きなメリットで、異なる個性を持った3大学でこれまで培われてきたノウハウの相乗効果が注目される。大阪薬大では、新学部で得られた新しい専門教育の成果やノウハウをフィードバックすることで、薬学教育の基盤強化や、さらなる発展を目指していく。
複数大学による共同学部の設置を可能とする仕組み作りは、政府の「骨太の方針2007」で示された。これに伴い文科省では、08年度中に大学の設置基準に関する省令を改正する方向で検討を行っている。関大・大阪医大・大阪薬大の共同学部は、来年5月までに新学部の設置申請を行い、10年よりスタートする予定で準備を進めていく。
今回の構想は、03年の関大と大阪医大の医工連携、04年の大阪医大と大阪薬大の学術交流協定、昨年12月の大阪薬大と関大の学術交流協定など、3大学のトライアングルが完成したことを受けての次へのステップ。
共同学部は、大阪医大(高槻市)のキャンパス内に開設され、新校舎は、関大が中心となって建設する予定。新学部の名称は未定だが、生命科学部、生命医科学部、生命健康科学部などが予測されている。学生定員は、1学年約200人程度。学科は、生命医科学、生命薬科学、医工学科、生命情報科学科、医療経営学科、看護学科が想定されている。
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学生は、3大学に重複して在籍し、卒業時には3大学連名の学位記を得る。授業料や各校の他学部の授業の受講を可能にすることなど、詳細については、今後、設置協議会を立ち上げて検討していく。共同学部に続いて、共同大学院の設置も計画している。
共同学部の授業は、各大学の教員も担当するが、生命医科学科は大阪医大、生命薬科学科は大阪薬大など、学科別に責任大学を決め、各学科ごとに専任教員を置く見込み。
看護学科のみ、看護師免許の取得が可能で、生命医学科を経ての医師免許、生命薬学科を経ての薬剤師免許の取得はできない。
大阪薬大の矢内原千鶴子理事長は、「薬学教育は、社会の要請に応える優れた薬剤師を育成することが第一の責務であるのは言うまでもない。だが、それだけに限定していては発展は望めない」とした上で、「従来、薬学が目標としてきた疾病治療のみならず、疾病予防や健康保持、今までの薬学だけでは不十分な創薬に関し、関連する他分野と融合した学際的な専門教育・研究が不可欠となる」と指摘。「生命薬科学科では、各大学固有の装置・設備のほか、3大学の既存の教育・研究施設も互いに活用して、健康、病気の予防や創薬に重点を置いた教育・研究を展開したい」と抱負を語った。
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