政府の知的財産戦略本部は8日、首相官邸で会合を開き、「知的財産推進計画2006」を決めた。イノベーションの促進、出願構造改革・世界特許の実現など6項目を、重点的に取り組む事項として掲げた。医療分野では、特許保護の運用状況を引き続き注視すること、新医薬品のデータ保護期間を8年間に延長することに関して、「06年度中に具体的な内容を検討し、必要な措置を講じる」との方針を打ち出した。
新たな推進計画は、06年度を初年度とする3年間を「世界最先端の知財立国を目指す」ための第2期と位置づけ、知財立国として実効を上げること、知財を活用した国際競争力の強化、新たな課題に対応した制度整備の必要性を強調。
その上で重要項目として、▽ニセモノ対策の強化▽イノベーションの促進▽出願構造改革・世界特許の実現▽中小企業と地域への支援▽文化創造国家づくり▽知財人材の育成――の6項目を取り上げると共に、具体的な目標等を明示した内容となっている。
このうちイノベーション促進の観点からは、「特許・論文情報統合検索システム」の整備、ポスドク・院生・学生が発明者である場合の特許料等の減免が盛り込まれた。出願構造改革・世界特許の実現に向けては、海外出願の促進、日米欧の連携による権利の早期化などを示した。
中小企業と地域への支援という点からは、中小・ベンチャー企業の知財保護などを重点項目に挙げた。人材育成では「知的財産人材育成総合戦略」の実行、国際的な知財専門人材の育成などを、取り組むべき課題として明記した。
個別の課題別に見ると、医療関係では「医療機器の作動方法」と「医薬の製造・販売のための医薬の新しい効能・効果を発現させる方法」という二つの技術について、05年4月に改定された特許審査基準の運用状況を、引き続き注視していくことが盛り込まれた。また、医薬品の試験データ保護に関しても、データ保護期間を8年間に延長することについて、06年度中に具体的な内容を検討し、必要な措置を講じるよう求めている。