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明治製菓の松尾正彦薬品カンパニープレジデントは10日、都内で行った記者会見で、得意の感染症領域を中心に北米での研究開発を優先し、国際競争力をさらに強化していく考えを示した。既にグローバル展開を意識した開発テーマの絞り込みを進めてきており、松尾氏は「何としても自社創薬品の商品化にメドをつけたい」と意欲を語った。
明治製菓は、医療用医薬品の研究開発として、長年創薬に取り組む感染症領域と、開発実績を持つ中枢神経領域を中心に、製品戦略の再構築と製品ポートフォーリオの強化を進めてきた。こうした中、昨年7月に新規作用機序の抗うつ薬「リフレックス錠15mg」、11月には小児用経口カルバペネム系抗菌薬「オラペネム細粒10mg」の承認申請を実施。2009年の上市を目指している。
主な開発パイプラインは、米セレキサに導出した注射用カルバペネム系抗菌薬「ME1036」が米国でPIを開始。自社創薬品のメタロβ‐ラクタマーゼ阻害薬「ME1071」がPI開始に向けて準備中にある。そのほか、感染症領域の自社創薬テーマについても北米での開発を優先し、POC試験の早期開始を目指すとした。一方、市販後の重点製品に関しては、剤形追加や用法用量の一変申請など、ライフサイクルマネジメントを積極的に行う方針も示した。
また、営業戦略としては、新たに昨年10月から他社製品の販売も開始。富士レビオのインフルエンザ診断薬「エスプライン」の共同販売、万有製薬の喘息治療薬「シングレア」の共同プロモーションによって、重点診療科での製品ラインナップの充実を図る。
海外事業は、国際戦略品である抗菌薬「メイアクト」のグローバル展開をさらに強化する方針を打ち出した。メイアクトは現在、世界16ヵ国で発売され、07年には約143億円の海外売上高を計上。今年はイタリアでの発売が予定され、最大の売上高を占めるトルコでも小児用製剤の発売が控えていることから、08年の売上高約227億円と大幅な伸長を見込んでいる。今後もロシア・南米・東欧での発売準備を進める計画で、さらなる海外市場の拡大を目指している。
薬品事業のもう一つの柱である後発医薬品事業は、「ジェネリック製剤研究センター」を小田原工場内に新設するなど、自社開発・生産体制の強化による事業拡大方針を表明した。
さらに昨年、外部機関が行ったジェネリック医薬品メーカーの調査で、メーカー総合評価のトップ、採用率で第2位の高評価を得たことを踏まえ、松尾氏は「医療機関からの信頼を得ることを最大の目標とし、これまで新薬事業で培ってきたブランドイメージを基盤に、着実な事業運営を行う」との姿勢を改めて示した。