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舛添要一厚生労働大臣は7日、「安心と希望の医療確保ビジョン会議」を省内に設置し、医療体制の長期ビジョンづくりに着手した。医師確保など短期的な対策を中心に取り組んできているが、高齢化が進む中で、それにふさわしい、将来を見据えた改革が必要と判断。医療サービス、医療機関、医師養成などについて検討し、4月にもビジョンを打ち出す方針だ。7日の初会合では自由討議が行われ、高齢患者を治療ではなく地域で支える体制や、患者との医療情報の共有の必要性が指摘された。
会議は、厚労大臣、西川京子副大臣、松浪健太大臣政務官、有識者として辻本好子氏(NPOささえあい医療人権センターCOML理事長)、野中博氏(野中医院院長)、矢崎義雄氏(国立病院機構理事長)からなり、外部有識者からのヒアリングや現場視察も行う予定。事務局は厚労省医政局。
7日の初会合には全員出席し、あいさつした舛添厚労相は「国民が安心できる医療体制の10年、20年の計画を作りたい」と述べ、協力を求めた。
野中氏は、高齢化に伴い痴呆や慢性疾患が増えていく中で、地域として患者の「生活や人生を支える医療」の必要性を強く指摘。医師個人ではなく、病院と診療所が連携するなど、患者をどう支えていくかの体制づくりではなく、どうしたら体制ができるかの議論を求めた。最終的には、患者と情報を共有し、患者との連携も必要だとした。
辻本氏は、患者との情報共有とはいっても、インターネット時代では溢れる情報の処理に困るケースも見られるとして、医療情報を専門家が整理・支援する場が必要だとした。さらに、医療の限界や不確実性を含めて、患者側にも相応の覚悟が求められ、そのことに向き合える医療側の姿勢も求めた。
矢崎氏も情報の共有に触れ、セカンドオピニオンは医療者、患者双方に「診断を受けるポイントという理解が必要」とし、その普及の重要性を指摘した。
一方、今後は在宅医療だけでなく入院患者も増えるとして、入院医療を支えるスタッフや医療機関の運営を見直していくことも課題だとした。舛添厚労相も、医師の診療を支えるスタッフの充実が医師不足問題のカギとの見方を示した。