■来年度以降、備蓄が大きな課題
薬事日報は保険薬局の現状を把握するための調査を毎年秋に実施しているが、昨年11月の調査で、店舗により格差はあるが、全体として「変更可」処方せんの受け付け枚数が増加しており、全処方せんに占める割合が前年の16%から22%に伸びた。全処方せんのうち、実際に後発医薬品(GE)に変更されたのも前年の1・8%から5・3%へと増加、少しずつではあるが“後発品シフト”の兆しが見えてきた。ただ、GEの在庫は「50品目未満」とする薬局が約44%を占め、来年度以降、調剤報酬体系を含め実質的にGEを使用せざるを得ない状況であり、ほとんどの薬局においてGE備蓄が課題となりそうだ。
■処方せんが一部に集中
回答店舗を調剤基本料の区分により分けると「区分1」が94%、「区分2」が6%で、前年調査とほぼ同様であった。従業員数については、今回から薬剤師数に絞り正社員と非正社員の数を尋ねた。それぞれ3・1人、2・1人であった。平日の営業時間は10・2時間で平年並み。
医療分野での電子化が進む中、レセプト請求のオンライン化のスケジュールが決まっているが、その「完全オンライン化」認知度は高く、自薬局のオンライン化は、約半数が最終年度の「2011年度から」を予定していることが明らかになった。
処方せんの取り扱い枚数は、月平均で1757枚と前年を上回ったが、枚数は「横這い」との意見が増加、「減少した」は漸減したものの今回も半数近くにのぼり、一部薬局に処方せんが集中している可能性もある。
また、一薬局が応需する処方せんの発行医療機関数は前年と同じ46軒、過去3年間を見るとほぼ同じ軒数で推移している。これを裏づけるように、発行機関数が「横這い」は前年に50%を超え、今回も56%と増えており、分業成熟化の一端を表している。
昨年大きな話題を提供した“FAX分業”に関して新たに設問を設けた。その中で、“FAX処方せん”が「必要」とするのは70%、「どちらとも言えない」が25%、「不要」は6%にとどまった。応需処方せんのうち約20%がFAXで送られている実態も明らかになった。
■実務実習、受け入れに積極的
薬学生の実務実習受け入れの状況は「受け入れをしている」(受け入れ表明含め)が経年調査では初めて50%台に乗り、次第に受け入れる薬局が増えつつある。さらに、受け入れ薬局で「実際に学生を受け入れている」が初めて80%台に達した。単純計算をすると、全体では、42%の薬局で学生実習が行われていることになる。
「認定実務実習指導薬剤師」も44%が「薬局内にいる」と回答しており、「いない」薬局でも過半数が「養成中」と回答。薬局サイドの実務実習受け入れは着々と進みつつあるようだ。ただ、多くの薬局からの意見として、未だ「大学側とのコミュニケーション不足」を課題に挙げることが印象的であった。
GEの使用環境についての調査は今回で2回目だが、「変更可」処方せんの受け付け枚数が月平均392枚と昨年の237枚から大きく増加した。ただし、10枚以下が33%、50枚以下では57%に達し、偏在がうかがえる。
また、1カ月間の処方せん中に占める割合が前年の16%から22%に増加、月間処方せんに占めるGE変更率も1・8%から5・3%へと上昇、数値はまだ低く、偏在があるものの、全体としては増加傾向にある。
ただ、GE在庫数は「50品目未満」が44%、「510100品目」が27%。全体の医薬品備蓄が今調査で初めて1000品目の大台に達した中で、GE備蓄が今後の課題であることが明らかになった。
そうした状況下、「変更可」処方せん受け付け時に、“積極的”あるいは“消極的”にせよ「説明する」と回答したのは約85%にのぼった。調剤の際に、「患者要望があれば取り寄せても対応する」が72%に達していた。