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■日医‐「流れ止められなかった」
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日本医師会の唐澤{示+羊}人会長は、診療報酬の改定率が決定したことを受けて会内で記者会見し、全体で0.82%引き下げとなったことを挙げ、「マイナス改定の流れを押しとどめることができなかったことは大変残念」と語った。
日医は5.7%の引き上げを求めてきたが、今回の改定は、勤務医や地域医療の疲弊への配慮があったものの、医科本体は0.42%の引き上げにとどまった。その点について「決して十分とはいえない」としつつも、「勤務医師の疲弊、産科医療・小児医療・救急医療の危機を少しでも救うであろうことに期待したい」と述べた。
その上で、疲弊する医療を改善していくには、「新しい財源の枠組みがないと達成できないと聞き及んでいる」と述べ、財政的な手当も含め医療環境に改善の必要性を国に理解を求めていく姿勢を示した。
今回の本体引き上げの裏で、政府管掌健康保険に対する国家負担削減分を、組合健康保険などが1000億円肩代わりし、サラリーマンの負担増で医師の報酬を増やしたとの批判があることには、「大変大きな負担をかけることになり、ムダのないよう国民の医療に役立てたい。その意味で大変感謝している」と話した。
■日病協‐「受け入れがたい」
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日本病院会など11病院団体で構成する日本病院団体協議会は、2008年度診療報酬改定で本体部分がプラス0.38%となったことについて、「受け入れがたい」との見解を発表した。鮫島健議長(日本精神科病院協会会長)は、金額に換算して300億円程度の増額では、医療現場の崩壊を阻止することは難しく「納得できない」と述べた。日病協の斉藤寿一実務者会議委員長も、「病院医療の崩壊を救うには程遠い数字」と強調した。
鮫島議長は、「財源確保のための努力に対しては、それなりの評価をするし、感謝している」とする一方、「(引き上げ幅の低さにより)結果として医療が荒廃した場合の責任は国にある」と述べた。
日病協が7日に厚労省に提出した08年度診療報酬改定では、医療現場の崩壊状態を緊急的に回避するためには、06年度改定の下げ幅であるマイナス3.16%を戻すだけの上げ幅が不可欠との観点から、あえて数字は示さず病院関連の報酬を「大幅に引き上げる」ことを求めていた。
斉藤委員長は、「そういう観点からすると、1%以下という数字は医療を軽視していると言わざるを得ない」と述べた。
また、08年度診療報酬改定の要望書で、「中核」と位置づけた入院基本料と手術料の引き上げについては、「どう引き上げられるかに注目している」とした。
日本病院会の山本修三会長は、約300億円の増額について、「この程度のものを病院と診療所が取り合うような愚はしたくない」とした上で、今後の点数配分の議論については、日病協と日本医師会が互いに話し合い、「うまくやっていく必要がある」と述べた。
■健保連‐「引き上げ情況にない」
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健康保険組合連合会は、診療報酬改定率の決定を受けてのコメントは出していないが、以前から「引き上げの環境にはなく、医療の歪みやムダの是正が重要。組合健保や共済組合による政管健保支援の財源が診療報酬引き上げ財源となるようなことがあってはならない」との意見を表明してきている。
これは反対してきた政管健保支援を受けることを14日に決めた際、政府・与党に対する要望として出したもの。その時に記者会見した対馬忠明専務理事は、引き上げに使われることがあれば「憤りに近い感情はある」と語っていた。
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