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日本東洋医学サミット会議(JLOM)は都内で会見し、「WHO西太平洋地域伝統医学国際標準用語集」の発刊について説明した。アジア各国で取り組まれている伝統医学のグローバル化を背景に、WHO西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)が地域各国を参集し、用語の標準化作業を進めていたもの。WHO/WPROとJLOMは、標準用語集の発刊を受け、伝統医学の相互理解をさらに図っていく考えだ。
WHO/WPROは、伝統医学の品質、安全性、信頼性、効率と互換性を高める目的で、2004年から「証拠に基づくアプローチによる標準化」をテーマに、標準用語体系の作成に向けた協議を開始した。
これを受け、わが国でも05年5月に日本東洋医学会、日本生薬学会、和漢医薬学会、北里研究所東洋医学研究所WHO伝統医学協力センターなどを中心にJLOMが組織され、標準化への対応を図ってきた。その後、3回にわたる議論を経て、用語選択と英訳を決定。今年8月に標準用語集が発刊されるに至った。
標準用語集は、伝統医学の相互理解を深め、教育、トレーニング、実践と研究のための共通用語体系を提供し、各国間での情報共有を容易にすることが大きな目的とされている。もともとWHOは、各国が独自に伝統医学を広めると、相互理解が進まなくなることを懸念し、率先して伝統医学の標準化に関わってきた経緯がある。
会見に同席したWHO/WPRO伝統医学地域アドバイザーのCHOI Seung-Hoon氏は、「標準用語集の発刊は重要な最初のステップで、伝統医学を標準化していく最も根幹となるもの」と意義を強調した。
その上で、「最終ゴールは全ての人々の健康で、伝統医学が標準化を果たした上で、西洋医学とのハーモナイゼーションを目指していかなければ現代医学に受け入れてもらえない」と指摘。「標準用語集の発刊を最初のステップとした相互協力が必要だ」と語った。