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メルクセローノのウェイン・パタソン社長は、今後の日本市場における取り組みについて、国内市場はさらに成長が見込まれるとし、上市を予定している癌や不妊治療領域の製品は「日本市場のニーズに非常にマッチしている」と、本紙取材で語った。日本での事業展開をさらに成長・拡大させる方針だ。具体的には、MRの質にこだわった戦略で日本市場での浸透を目指す。特に現在申請中で、同社が期待する抗癌剤「アービタックス」については、競合他剤にはない強力なデータが得られていることから、パタソン社長は市場浸透に強い期待感を示した。
同社は親会社の独メルクが今年1月、スイスのセローノを買収。国際的なメルクとセローノの統合作業の一環として、メルクの医薬品事業とセローノ・ジャパンが統合して10月1日付で設立されたもの。「癌」と「不妊治療」が重点領域で、事業展開の中心に据えている。
パタソン社長は今回の経営統合について、「成長・拡大していくためのものだ」と位置づけた上で、特に日本では来年以降、新製品の上市が予定されていると指摘。さらに、「いまの伸び率が続くと、2020年になっても日本市場は世界第2位という規模だと見込まれる。わが社も当然、日本に積極的に投資していくという明快な意志を持っている」と述べ、日本市場への取り組み強化を図る方針を示した。
重点領域としている癌と不妊治療については、「日本市場のニーズに非常にマッチしている」としており、日本での事業展開拡大が充分可能との認識だ。
このうち、癌領域で最も期待が大きいのが抗癌剤の「アービタックス」。同剤はヒト上皮成長因子受容体(EFGR)を標的とするモノクローナル抗体で、治癒切除不能な進行・再発CRC(結腸直腸癌)治療薬として、今年はじめに医薬品医療機器総合機構に承認申請を行っている。早ければ08年にも承認取得が見込まれる。
「アービタックス」についてパタソン社長は、競合他剤にない説得力あるデータが得られているとし、「競争の厳しい癌領域だが、他社製品よりはるかに上をいく製品だと考えている」と述べ、市場拡大に意欲を示した。
一方、不妊治療では旧セローノが開発した遺伝子組み換え卵胞刺激ホルモン(FSH)製剤であるゴナールエフの適応拡大を目指す。同剤は日本で06年1月、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症(MHH)治療薬として承認を取得しており、今後はIVF(体外受精)への適応拡大を図っている。現在、PIIIが進行中で、できるだけ早く承認申請を目指していく予定だ。
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