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医薬品産業ビジョンにおける2005年度までのアクションプラン進捗状況を4月に取りまとめたのを受け、厚生労働省は5日、「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」を開き、関係業界8団体から意見を聴取した。この中で日本製薬団体連合会などは、研究開発や治験環境の整備、薬価問題等について意見や要望を述べた。厚労省によると、現在のビジョンは今年度で終了することから、年度内に新しい産業ビジョンを策定する方針。この日の意見等を踏まえ、今後、新ビジョン策定に向けた作業を進めていく。
懇談会で意見を述べた森田清氏(日薬連会長)は政府の研究開発投資に関し、米国ではヘルスケアに22%も投資しているが、厚労省は4%しか投資していないと指摘、日本発の医薬品創製に向けて、必要な予算を確保すべきと主張した。薬価制度についても、医薬品産業の健全な成長を支える薬価制度の構築が必要だとし、▽優れた新薬の適切な評価▽良質な後発医薬品の使用促進▽魅力ある医薬品市場の構築――という視点から制度を構築していく必要を訴えた。
また、研究開発指向型メーカーの立場から意見を述べた青木初夫氏(日本製薬工業協会会長)は、医薬品産業をリーディング産業として成長させるため、国家プロジェクトして取り組むべきとし、具体的には科学技術基盤、薬価制度、治験環境、承認審査制度などの環境整備が不可欠との考えを示した。
特に治験を含む臨床研究体制については、抜本的な強化が必要だと強調し、医薬品医療機器総合機構に治験相談体制の大幅な充実と、承認審査の迅速化を求めた。薬価制度に関しては、市場拡大再算定など市場実勢価格主義に基づかない薬価引き下げばかりでなく、薬価改定頻度の引き上げ、長期収載品の成分加重平均改定にも反対する立場を表明した。
また、米国研究製薬工業協会や欧州製薬団体連合会からも、薬価制度や治験環境の整備について、改善を求める意見が示された。医薬工業協議会は、後発医薬品のさらなる使用促進という観点から、処方せん料等の加算や院内処方への加算、後発品の年2回定期収載などを要望した。
さらに日本大衆薬工業協会からはスイッチOTCの拡大、OTCの効能表現見直しなど、日本医薬品卸業連合会からは医薬品コード等の標準化、コードメンテナンスのためのナショナルセンター設置、調整幅の2%堅持などを求める意見が出された。