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厚生労働省が提案した来年度薬価制度改革の方針に対する医薬品業界からの意見聴取が5日、中央社会保険医療協議会薬価専門部会で行われ、出席した日米欧の製薬団体は、市場拡大再算定の対象拡大案に対し「(政府方針である)イノベーションを評価するという考えに逆行する提案」だとして導入に強く反対し、市場拡大再算定そのものの廃止または運用中断を求めた。その中で日本製薬団体連合会の森田清会長は、イノベーションの創出やドラッグラグの解消をしようという政府方針がある中で、このような提案をしてくることに「にわかに信じがたい」と語気を強めた。
現行の市場拡大再算定は、対象薬剤とその比較薬について実施しているが、業界が猛反発している厚労省の拡大案は、対象薬剤の薬理作用類似薬全てを含めるというもの。そのほか、厚労省は、より効果の優れた新薬を評価するため算定薬価に上乗せする補正加算の加算率引き上げなども提案している。
日薬連ほか、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会は、加算率の引き上げなど新規収載品に対する新しい薬価算定ルール案は肯定的に評価した。
その中で日薬連は、来年度改革に向けては市場拡大再算定案と、今回の議論の俎上には載っていないが過去実施され、市場実勢価を割り込む薬価引き下げとなる長期収載品の特例引き下げの2点に絞って意見を表明し、いずれに対しても即時廃止を求めた。
森田会長は、医療費が伸びる一方、薬剤費はほぼ横ばいで推移し、業界も少なからず貢献してきた中で、特に大型品と呼ばれる主力品に影響の大きい今回の提案に神経をとがらせた。
再算定に対し、導入時は限定的な運用だったのが、1995年の中医協建議以降、「売れたら下げる形に変貌した」との経緯を指摘した上で、市場拡大も現場の医師から高い評価を得た結果であるとして、市場拡大再算定の対象拡大案に対し「イノベーションの成果をもぎ取り、成長の芽を摘み取るものだ」と訴えた。
米国製薬協在日執行委員会の関口康委員長も、今回の提案が「市場で競合している医薬品について公平な薬価改定を行う」ことを理由にしていることに対し、「製品は市場で評価されるべきもの」だとし、市場拡大再算定そもそもが誤りだと指摘した。欧州製薬団体連合会の永田傳理事長も「イノベーションの評価と矛盾するものであり受け入れられない」と述べ、運用を中断し、中長期的に薬価制度全体から再検討することを求めた。
日本医薬品卸業連合会の松谷高顕会長も、「専ら財政的な見地に立って、薬価調査で得られた市場実勢価によらない長期収載品の特例引き下げや、不合理な市場拡大再算定による引き下げを行うことは、薬価基準制度に対する関係者の信頼を著しく裏切るものである」と問題視した。流通問題にも触れ、流通改善懇談会の提言の実現に向け努力することを表明した。
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