厚生労働省は28日、現行薬価と市場取引価格の開きを示す平均乖離率が、9月取引分で約6.5%であったとする薬価本調査結果の速報値を、中央社会保険医療協議会総会に報告した。調整幅を2%とすれば、調査に基づく薬価引き下げ率は約4.5%、医療費ベースでは約1%に相当する。今後、中医協の検討課題となっている市場拡大再算定の対象拡大などが決まれば、下げ幅はさらに大きくなる。
消化性潰瘍剤は約7%
報告されたのは、9月取引分について、販売サイドから11月9日までに報告があったものの集計結果。
市場規模の大きい主な薬効群別の乖離率は、内用薬では「血圧降下剤」5.7%、「消化性潰瘍用剤」6.9%、「血管拡張剤」6.1%、「高脂血症用剤」6.5%。内用薬全体で6.4%で、最も大きい乖離率となったのは「その他の泌尿生殖器官及び肛門用薬」で7.0%だった。
注射薬では「他に分類されない代謝性医薬品」10.9%、「その他のホルモン剤」6.0%、「血液製剤類」3.2%。注射薬全体では7.4%だった。
外用薬では「鎮痛、鎮痒、収斂、消炎剤」5.7%、「眼科用剤」5.5%、「気管支拡張剤」4.3%。外用剤全体で5.5%だった。
薬価調査に基づく引き下げは医療費ベースで約1%程度で、国庫負担削減額にして800億円前後となる計算。来年度予算で求められている社会保障関連予算2200億円削減と絡み、中医協に提案されている市場拡大再算定の対象拡大など算定ルールの見直し論議に、業界の関心は集まっている。
2200億円の削減を厚労省は、▽薬価の引き下げ▽後発医薬品の使用促進▽被用者保険の財政調整――を3点セットにして行う方針である。当初は薬価と後発品で1000億円を捻出する考えだが、現段階では財政調整案は決着を見ていない。業界側では薬価にしわ寄せがくることを警戒している。
28日は、5~9月取引分の材料価格本調査結果の速報値も報告され、平均乖離率は約8.9%であった。