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バイオインダストリー協会は、2006年バイオベンチャー統計調査報告書をまとめた。06年のバイオベンチャー数は、前年より10%ほど増え586社となった。企業数は増加傾向にあるものの、そのスピードは落ちてきている。また、05年までは全国に拡大しつつあったが、06年は首都圏や北海道、福岡など特定地域に集中するなど、拡大傾向は見られなかった。
調査は、バイオインダストーに関わるマクロ環境分析、マーケティング調査などに資する資料として、継続的にバイオベンチャー数、企業リスト、経営指標などを報告することを目的に実施されている。
企業は、[1]バイオテクノロジーを手段、対象として事業を行っている[2]中小企業の従業員数の条件に当てはまる[3]設立から20年未満[4]研究、受託研究サービス、製造等を主たる業務としている””の4条件を満たした「カテゴリーA」、条件[3]を満さない「カテゴリーB」、条件[4]を満たさない「カテゴリーC」、カテゴリーAの条件を満たす非営利組織の「カテゴリーD」に分類されている。
06年末時点のバイオベンチャー(カテゴリーA)の総数は586社あった。起業数が廃業数を大きく上回り、06年もバイオベンチャーの増加傾向は変わらなかったが、最近3年間の企業増加数と増加率は、04年が77社19.9%、05年が67社14.4%だったのに対し、06年は55社10.4%となり、増加率は低下している。なお、カテゴリーBは106社、Cは47社、Dは10社だった。
全調査対象のカテゴリーA0Dの企業数を見ても、増加率の低下傾向が見られ、04年は83社、05年は99社増加したが、06年は45社増にとどまった。
また設立後、20年近いバイオ企業が相当数あるため、現在はカテゴリーAに属する企業で、今後カテゴリーBに移行する企業は着実に増加することが予想される。しかし、05年までは毎年カテゴリーBの企業数は増加していたが、06年は若干減少しており、設立後20年以上の比較的長い歴史を持つ企業の中に、バイオ分野から撤退する企業があることを示唆する結果だった。
都道府県別の企業数では、これまで東京、北海道、大阪、神奈川、京都、兵庫、茨城、福岡、千葉、愛知の順だったが、06年は東京、神奈川、北海道、大阪、茨城、京都、兵庫、福岡、千葉、愛知、広島、埼玉の順となった。
この1年間で注目されるのは、神奈川が20社、茨城が11社も増加したこと。また、東京、福岡でも増加が目立っており、バイオベンチャーが多く存在するのは関東、近畿、北海道で、特に関東圏のバイオベンチャー合計数は286社で、全ベンチャー数(カテゴリーA)の48.8%に達している。
バイオ産業の発展は、05年までは従来の先進地域から、より広い地域に拡大しつつあったが、ここに来て拡大に歯止めがかかった。バイオベンチャーがない地域は福井(05年は1企業あった)、愛媛、佐賀の3県、1企業しかない地域は岩手、新潟、山梨、奈良、鳥取、山口、高知、大分、鹿児島の9県でとなっている。
■日本は医薬品以外が高比率
バイオベンチャー(カテゴリーA)の主要な事業領域は、[1]医療・健康(250社)[2]研究支援(226社)[3]サービス(95社)[4]環境(76社)などとなってる。この順位は、最近3年間同様であり、各々の分布比率にも大きな変化は認められていない。
小分類の事業領域では、[1]医薬品・診断薬開発(157社)[2]受託研究・受託開発(155社)[3]コンサルティング(78社)[4]パーソナルケア(72社)[5]実験・消耗品開発(66社)の順で、これは過去3年間変わっていない。
欧米諸国では、医薬品・診断薬の開発を行うバイオベンチャーの比率が圧倒的に高いが、日本では32%程度に過ぎず、研究支援が約29%と接近、サービスが12.1%、環境が9.7%など、医薬品、診断薬開発以外の比率が高いのが特徴となっている。
カテゴリーAでコア技術が大学発であるものは179社(30.5%)、公的研究機関なのは37社(6.3%)だった。大学、公的研究機関、企業の三者共同研究である場合や、複数の製品を持つ場合などに1社で「大学発かつ公的研究機関初」という例もあった。
■資金獲得が困難に”新興株式市場が低調
一方、06年までにカテゴリーAに属する企業で上場を果たしのは14社だが、06年の単年をみると、上場企業はファーマーズ1社のみだった。上場数が少なかった理由としては、新興株式市場が低調であったことから、一度は上場を計画したバイオベンチャーの経営者、あるいは支援者が上場に慎重な態度を採ったことなどが挙げられている。
報告書では、05年から低迷を続けていた上場バイオベンチャーの株価時価総額は、一次は持ち直したかに見えたが、その後も落ち込みから回復できない状態が続いており、今後も楽観的予測は困難な状況にあると分析。「ベンチャー企業の新規上場の必要性と、将来の大きな可能性は誰もが認めているが、バイオベンチャーがそれに対応することができなのが現状」だと指摘している。
さらにバイオベンチャーは、IT関連ベンチャーなど他の事業領域に比べると、製品出荷に至るまでの研究開発期間が長く、多額の資金が必要であり、製品が開発されても短期館内に大幅な売上拡大を実現することは困難であり、ベンチャーキャピタルにとって評価の難しい投資案件が多く、バイオベンチャーが資金獲得で大きな困難に直面しているとしている。
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