エーザイは、新中期経営計画「E-WAY2025」が始動するに当たって、4月1日付で大規模な組織改編を行う。「癌」と「認知症関連・神経退行性疾患」の2領域を戦略的重要領域と位置づけ、ニューロロジービジネスグループとオンコロジービジネスグループを新設する。日本事業については、地域医療に対応するため、中枢神経系と癌の二つの領域、ジェネリック事業、消化器スペシャリティ領域、一般用医薬品のビジネスを変革し、部門完結ではなく、患者ニーズに最適な事業ミックスへの転換を図るため、日本事業担当を新設する。環境変化に対応できる最適な事業構造に変革していく方針。
エーザイでは、4月からの新中計で、癌と中枢領域に特化した探索研究、臨床研究、販売・マーケティング、戦略/計画を一元管理した組織体制に改編する。パイプライン生産性向上のためには一元管理された組織のもとで、早期の意思決定が必要と判断。パイプライン優先度やライフサイクルマネジメント採択を行う上でビジネスグループが主導する。
ビジネスグループは、グループヘッドと、探索・臨床・販売・戦略の4部門の責任者5人で構成され、関連する全てのパイプラインや製品、グループの収益に対して責任を負う。ニューロロジービジネスグループでは、抗てんかん薬「ファイコンパ」と抗肥満薬「ベルヴィーク」の成長、最重要プロジェクトである次世代アルツハイマー病治療薬候補の開発を着実に進めていく。
一方、オンコロジービジネスグループは、抗癌剤「レンビマ」「ハラヴェン」の適応追加や、抗癌剤のグローバル研究開発プロジェクトの推進を加速する。コマーシャル部門には戦略策定・実行機能を担うOBGチーフストラテジーオフィサーを設置し、レンビマ、ハラヴェンにはグローバルリードをそれぞれ任命する。
さらに、ビッグデータセンターとして、社内外のビッグデータ、リアルワールドデータを収集・解析すると共に、容易に利活用が可能なスマートデータとして提供し、新たな創薬ターゲットやバイオマーカーの同定、患者ニーズに合致したソリューションの提供や治療成果を評価するエビデンス創出を推進する「hhcデータクリエーションセンター」をCEOオフィス直下に新設する。
日本事業の再編では、メディカル、治療成果、アクセスの3機能を中核とする事業ミックスへの転換を図る。新薬とジェネリック医薬品、長期収載品のパッケージ戦略を立案し、メディカル本部と連携しエビデンスとアクセス拡大を図る「アクセス&アウトカム本部」を新設するほか、35統括部の地域包括ユニットの営業体制を70統括部からなる地域連携8本部体制に移行する。
また、日本事業担当直轄下に「認知症ソリューション本部」を新設し、エーザイが保有する認知症関連データや疾患啓発の実績や早期診断への取り組みにより得た知識・経験、「まちづくり」や認知症情報提供を通じた医療従事者、患者、行政との関係性を活用し、認知症に対するソリューションをパッケージとして提供する。