不妊に対する生殖補助医療技術で、代理出産を社会的に認めてよいとする人が54.0%に上ることが、厚生労働省の調査で判明した。男女差はなかった。認める理由の7割は、病気などにより不妊となった女性が子どもを持てる可能性があることを挙げている。しかし、「わからない」も3割近くいるほか、認めない理由の半数近くは「人を生殖の手段として用いるべきでない」としており、倫理面を含め問題の複雑さに悩む姿が浮き彫りとなった。
調査は、20069歳の男女5000人を対象に調査票を郵送し、68.2%(3412人)から回答を得た。結果は日本学術会議の「生殖補助医療のあり方検討委員会」に提出された。
一定条件のもと、代理出産を社会的に「認めてよい」とするのが54.0%で、「認められない」が16.0%にとどまった。しかし、これが自身の問題に近づくほど抵抗感が出てくる。
「配偶者が賛成したら利用したい」が40.9%あった一方で、「配偶者が望んでも利用しない」も48.4%。自分らの問題になった時には、代理出産は「どんな場合でもしたくない」というのも39.9%に上った。
してもよいケースでは、24.5%が「自分の実の姉妹に代わって出産」、16.1%が「自分の娘または息子の妻に代わって出産」、12.0%が「自分の実の兄弟の妻(義姉・義妹)に代わって出産」だった。
生殖補助医療技術で生まれた子供が出自を知る権利については「知らされるべき」は15.1%、「知らされるべきではない」が22.0%。最も多かったのは49.8%の「親の考えに任せるべきである」で、女性が男性を10ポイント近く上回り53.2%だった。
ただ、精子など提供者の個人情報については、「知らないでいるいるべきである」が48.6%と、男女差はなく、個人情報の開示までは必要ないという意識が示された。