HER2陽性の早期乳癌の術後補助療法として、欧州委員会は「ハーセプチン」の追加適応を承認した。申請から3カ月の承認となった。日本では同適応で、スイスロシュが今年後半に申請を予定している。
HER2は、癌を誘発する遺伝子によって産出される蛋白質。HER2陽性乳がんでは、癌細胞表面で同蛋白量が増加しており、通常の化学療法に対する反応が悪いケースが多いため、癌の進行、再発の可能性が高まる。女性乳癌患者の約203割が陽性乳癌といわれる。
「ハーセプチン」は抗HER2ヒト化モノクローナル抗体で、HER2に結合してシグナル伝達を阻害するなどによって、増殖を抑制する。日本の医療機関も参加した大規模臨床試験「HERA」では、術後標準的化学療法後に同剤を投与した場合、化学療法単独に比べ癌再発リスクを46%減らしたという結果が示されており、欧州への申請もこのデータに基づいている。
既に欧州では、乳癌の適応があり、早期乳癌を含め、悪性度の高い乳癌の全ステージの女性患者が、この治療が可能になる。