大阪商工会議所、大阪工業大学、シミック、双日、三菱UFJ信託銀行の5者は14日、日本初の創薬特許流通サイト「創薬シーズ・基盤技術等流通市場」の創設に向けた基本合意書に締結した。同サイトは医薬品候補物質(創薬シーズ)、創薬関連基盤技術の売買情報を掲載する市場であり、新薬開発の可能性を消失させないことを目的としたもの。今後、市場構想の具体化に向け、市場運営の詳細などを協議した上で、今年10月の立ち上げを目指す。
基本合意における役割分担は、市場運営を大阪商工会議所が担当するほか、▽大阪工業大学(大学院知的財産研究科):市場運営アドバイザー▽シミック:臨床試験などのコンサルティングと医薬品開発のトータル支援▽双日:案件成立を支援するコーディネート▽三菱UFJ信託銀行:ライセンス事務の負担軽減、特許侵害防衛に役立つ知財信託――となっている。
創薬には、長い年月と膨大なコストがかかるという特殊性から、製薬企業が開発を断念するケースも多い。最近では、大学やベンチャーから基礎研究・臨床実験が終了した成果を買う動きもあるほか、開発を中止した自社シーズのライセンス供与、創薬シーズの効率的探索、特定保健用食品・化粧品開発への創薬シーズ活用にも関心が高まっている。
これらを背景として、昨年7月に製薬企業6社、商社、金融、開発業務受託機関が参加した「創薬シーズ・基盤技術等の流通市場構想研究会」が設置され、市場の創設に向けて検討が進められていた。