塩野義製薬の塩野元三社長は5日、中間決算説明会で会見し、今年4月に新たな見直しを行い、3年目の新たなスタートを切った第二次中期経営計画(2005~09年)について、順調に推移していることを強調した。
会見で塩野社長は、「本年4月に修正した第二次中期経営計画で示した各目標値は、何としても達成する所存である」と明言。「07年度中間期の業績は順調に推移した。今年度は年間計画も十分に達成できる見込みにある」と強調した。その大きな原動力となっているクレストールの工業所有権等使用収入について、「年間で290億円に上方修正した」と説明。同剤の売上高についても「国内では上期42億円の計画に対し、44億円の売り上げを達成した。国内外共に計画を上回る実績を示している」と話した。
その一方で、主力品である抗生物質の売上減少を「不本意」とした上で、「市場がシュリンクしているのが大きな問題だが、新製品のフィニバックス、アベロックスの伸長に尽力したい」と今後の販売方針を示した。
具体的な施策として、「フィニバックスは、今年10月に米国でも承認された。今後は、海外で得られたエビデンスを国内にフィードバックすることで、より一層の拡大を図りたい」と述べた。アベロックスについても「呼吸器感染症で、入院せずに治療できる薬剤として高い評価を得ている。今後は、安全性に関する情報提供を徹底すると共に、同剤の特徴を訴求していきたい」との方向性を示した。
期待の開発品では、国内申請中の高血圧症治療薬(ARB)イルベサルタンの08年度中の販売を予定しているが、「大日本住友製薬との併売となる。当社では、クレストール等で培った循環器領域の強みを生かしたMR活動を展開したい」と述べた。糖尿病性神経因性疼痛治療薬塩酸デュロキセチンは、「PIIIを終了し年内には解析結果が出る。今年度中に申請し、09年度の承認を目指したい」と明言した。海外で開発中の抗肥満薬「S-2367」は、今春よりPIIb試験がスタートし、9月には1500例の患者登録を完了。来年末に、最終患者への投与が終わる。
塩野社長は今後について、「クレストールのロイヤリティ収入に支えられている間に、国内の営業体制の強化、開発パイプラインの充実、インライセンス活動を含む戦略を推進し、強固な経営体制を構築したい」と語り、「当面は合併せずに単独で行く」意向を強調した。