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日本保険薬局学会の発展に期待

2007年11月07日 (水)

 日本薬局学会の第1回学術総会・ファーマシーフォーラム2007が10、11日の2日間、神戸ポートピアホテルで開かれる。学会デビューを目前に、関係者は緊張し、かつ開催回数、実績を重ねて、将来的に大きく育つものと期待に胸を膨らませていると察せられる。

 薬学関係では何と言っても日本薬学会が最も長い歴史をもつ。明治13年、西暦1880年にわが国でも「最も古い学会の一つ」として誕生。当初会員数は何と30人ほどであったという。127年目を迎えた現在、会員数は2万人を超え、これを維持している。ただ、薬剤師教育を重視する6年制実施という大変革期を迎え、老舗学会といえども新たな方向性を模索している。

 一方、職能団体関係では、日本病院薬剤師会が中心となって日本病院薬学会(後の日本医療薬学会)を組織した。90年7月、東京の九段会館で初年会を開催。当初会員数は1230人余。00年度、10年かかって会員数は倍の3000人を超えた。その翌年、01年1月からは学会名を「日本医療薬学会」に変更、活動分野や正会員の対象拡大が図られた。

 拡大策の一つとして、年会長は従来、病院薬剤師が名を連ねていたが、臨床系の薬大教授も加わるようにした。その結果、06年度現在では正会員は6000人に迫る勢いで、学生・賛助会員など合わせた会員数は6100人を超え、名称変更時の約1・6倍にまで達している。学会名称から“病院”が抜けた前後から、チェーン薬局の薬剤師を中心にした入会、あるいは研究発表も見られるようになった。

 その当時から、保険薬局の薬剤師も「学会」での発表の機会を待ち望んでいたことがうかがわれる。日本薬学会でも早い時期から医療薬学系に着目し、「クリニカルファーマシーシンポジウム」を開催。しかし当初から講演会の色彩が強かった。また、毎春の年会発表でも、一部の大学病院等病薬からの発表が中心で、保険薬局の現場にとって“研究者の学会”は未だ“敷居”が高い。

 今回の日本薬局学会は、かつての日本病院薬学会と同様に、日本保険薬局協会(NPhA)という職能団体が設置した学会。過去2回にわたる「ファーマシー・フォーラム」を学会へと脱皮させようというものだ。

 従来のNPhA主催であれば、フォーラムへの参加、あるいは発表についても、加盟企業の社員が、“社の方針”に則ったものと、世の中から見られる。今後は、学会独立に会員を募集することになり、会費の支払いも含め、個人の意志が前提になり、入会の判断も個人に委ねられることになる。

 NPhAではフォーラムと共に、全国17カ所で「ファーマシーセミナー」をきめ細かく開催してきた。年に1500人が参加し、その3分の1は、会員企業以外の薬剤師が占めているという。今後、さらに開催場所が拡充される予定だ。セミナー内容等が、広く若い薬剤師に受け入れられている現れの一端だろう。

 その流れも汲みつつ、学会の独自性、理想を高く掲げ、開局薬剤師の“自由な発表の場”として認識されるかが、発展の鍵を握っている。特別な今回はさておき、来年度の“本番”が待たれる。



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