文部科学省は、2006年度「民間企業の研究活動に関する調査報告」を公表した。06年度の研究開発費は引き続き増加傾向を示し、07年度に増額予定の企業は前年度よりも3ポイント増え40%を超えた。また、企業が採用した研究職社員の資質に関する調査も行われ、「期待を上回る」と答えた企業は102%にとどまったことが分かった。
調査は、▽研究開発費▽研究開発者などの人材▽研究開発等に関する社内外の環境””を中心に実施された。調査対象は、研究開発をしている資本金10億円以上の企業1791社で、今年203月に行われた。有効回答は896社(製造業734社、非製造業162社)、有効回答率は50%だった。
研究開発費については、社内研究開発費(設備投資込み)を前年度より増額予定とする企業が07年度は42.2%で、前年度の39.2%と比べて3ポイント増加していることが分かった。一方、減額を予定する企業は8.8%で、前年度に比べて0.9ポイント減となった。
業種別にみると、「増加の見込み」と回答した企業の中で、割合が最も高かったのはゴム製品工業(66.7%)で、医薬品工業は52.9%だった。
外部支出研究開発費に関しては、07年度に増額を予定する企業の割合は26.1%で、前年度に比べて0.5ポイント減となった。製造業では、印刷業の50.0%が最も高く、次いで精密機械工業の47.4%、3番目が医薬品工業の47.1%だった。
一方、研究者の資質に関する調査結果からは、企業が研究職として採用した大卒・大学院卒社員の資質が、「期待を上回る」と回答した企業は102%程度と低かった。
研究者の資質を、学士課程修了、修士課程修了、博士課程修了、ポストドクターなど、学歴別に調べたところ、「期待を上回る」と答えた企業の割合は、学士が1.0%、修士で1.4%、博士が2.6%、ポストドクターが2.2%だった。
「ほぼ期待どおり」と答えた企業は、全てのカテゴリーで55060%前後。「期待を下回る」と回答した割合は、学歴・年齢が低いほど高い傾向にあり、学士では31.1%、修士で約26.3%、博士15.3%、ポストドクター8.1%だった。
期待を下回る理由としては、学士では「基礎教育の内容・方法が不十分」、修士や博士、ポストドクターでは「社会での経験に乏しく、企業ニーズに無関心など企業研究者としての自覚に欠ける」が最も多かった。
このほか、▽教科書や既成の理論に偏重した教育で独創性が育っていない▽専門に隣接する分野の教育が不十分▽ビジネスやマネジメント等の社会的な教育の内容・方法が不十分””などを理由として挙げる企業も多かった。
- 【文科省】増加傾向続く研究開発費‐05年度民間企業調査
2006年12月11日