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日本医師会の唐澤{示+羊}人会長は10月30日、次期診療報酬改定で5.7%の引き上げを求める要望書を舛添要一厚生労働大臣に提出した。提出後、記者会見した唐澤会長は、「小児をはじめ産科、高齢者など、医療現場は疲弊している。勤務医の問題もある。せめてこれくらいの手当がないと医療は持たない」とし、要望の妥当性を強調した。
日医によると、要望に対し舛添大臣は、厳しい財政状況を踏まえた上で「既に地域医療崩壊が始まっており、これ以上の医療費の削減には限界がある。特に勤務医対策を中心に(対応を)考えている。要望に応えられるよう努力したい」とコメントした。
要望した改定率は、地域医療支援、医療安全対策、医療の安全確保にかかるコストを積み上げて算定したもの。
地域医療を支えるためのコストとしては医療費ベースで9600億円(引き上げ率3.8%)、医療安全対策には2200億円(0.9%)、医療の質を確保するために2700億円(1.1%)で、計1兆4500億円かかるとし、5.7%の引き上げが必要だとしている。
特に地域医療を支えるためのコストについては、医療機関が全体的に赤字に陥っているデータを示し、「国公立病院を含め、損益分岐点比率を最低でも98%(100%超で赤字)にする必要がある」とし、赤字からの脱却を図ることで地域医療崩壊を食い止める必要性を訴えた。
また、5.7%の引き上げに必要な財源の確保について、唐澤会長は「保険者の負担率公平化、特別会計における予算措置など、見直すべきところもある。つぶさに検討していただければ、工夫できる部分もあるのでは」と述べ、対応を求めた。