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協和発酵の松田譲社長は10月30日、都内で開かれた中間決算説明会で、キリンファーマとの戦略的提携について、「抗体技術とKMマウス技術を持つ両社の提携は、お互いの企業価値を最大化することができる世界最強のタッグ」と強調し、改めて新会社発足に向けた決意を表明。合併効果が株価に反映されていないことに関しても、「提携の趣旨と私の思いを市場にきっちり訴えていく」と理解を求めていく姿勢を示した。
同社は、得意とする癌領域の抗体医薬を中心に、KW‐0761、KW‐2449、KW‐2478など、開発パイプラインを充実させてきており、松田社長は「抗体医薬の成果は2014016年に出てくるだろう」との見通しを明らかにした。主力製品の売り上げが頭打ち状況にある中、抗体医薬上市までの期間をキリンファーマとのシナジー効果で乗り切る考えだ。
抗体作製技術の大きな強みであるポテリジェント技術に関しては、新たに武田薬品、メドイミューン、グラクソ・スミスクラインの3社とライセンス契約を締結。10月4日の日本癌学会では、抗CCR4抗体のKW”0761のPI結果として、ポテリジェント技術の有効性を示唆する成績が得られことから、松田社長は「ヒトの疾患で治療効果を示したPI結果は、ポテリジェント技術の価値を証明している」と自信を示した。
その上で、松田社長は「抗癌剤の開発は成功確率が低いが、癌領域に強い協和発酵を標榜するならば、全て自前で開発していたのでは欧米のスピードについていけない」と指摘。「米国の資本も入れて、新しいビジネスモデルを実現しなければならない」と強調した。
そこで、新しい開発モデルとして打ち出したのが、伊藤忠商事などが出資するバイオベンチャー「ジャパンブリッジ」との提携。同社が取得した癌領域の導入候補品に対して助言などを行う代わりに、共同開発・販売の優先交渉権を得ようとするものだ。
松田社長は、さらなる合併の可能性について、「業界再編に絡むつもりはないし、日本の製薬企業でシナジーがあって私の思いを実現するためには、(キリンファーマのほかに)相手がいないと思う」と明確に否定したものの、「パイプラインが充実して、製品化のメドが立ってきたら、米国での販売網を作るためのM&Aは有効な手段であり、必要になってくる」と販売網を確保する目的では合併を模索していく考えを明らかにした。
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