タミフルの脳への影響を調べた4非臨床試験の成績が、厚生労働省医薬食品局の「リン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)」に、中外製薬から報告された。4試験はロシュが実施したもので、いずれの試験も、タミフル投与と異常行動との因果関係は否定される結果だった。WGでは今後、残りの試験の結果報告を受け、今冬のインフルエンザシーズンまでに最終判断し、それを受け、薬事・食品衛生審議会の部会が安全対策をまとめる予定。
報告された非臨床試験は、▽脳内での暴露に関連する能動輸送過程(トランスポーター)に関するin vitro試験▽脳内のカルボキシエステラーゼ1(hCE1)による未変化体の代謝(エステル加水分解)に関するin vitro試験(脳組織)▽ラットにおける脳、脳脊髄および血漿中濃度の測定▽中枢神経作用に関するバインディング・アッセイ””の四つ。
試験は、タミフルの代謝物の脳内吸収を主に調べたもので、その結果、タミフルが脳に影響を及ぼす可能性は低いとしている。また、中枢性作用に関する受容体とのバインディング・アッセイでも、タミフルが持つノイラミニダーゼ阻害作用に特別な問題は認められなかった。