厚生労働省が19日付で承認した新医薬品では、世界初の経口プロスタサイクリン(PGI2)誘導体徐放性製剤、日本で2番目となるシェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状改善薬、分子標的治療薬で、化学療法施行後に増悪した進行・再発非小細胞肺癌に適応となったEGFRチロシンキナーゼ阻害剤が登場した。
【ベラサス錠:科研製薬、ケアロード錠:東レ、アステラス製薬】
「ベラサスLA錠60μg」「ケアロードLA錠60μg」(一般名:ベラプロストナトリウム)は、東レの研究所で創製されたプロスタサイクリン誘導体の徐放性製剤で、肺動脈性肺高血圧症治療薬として承認された。血中濃度の持続化、最高血中濃度の低減に成功した結果、世界初の徐放化を実現したもので、肺動脈性肺高血圧症治療に新たな選択肢が加わることになる。薬価収載は年内を予定している。
【レグパラ錠:キリンファーマ】
「レグパラ錠25mg、同75mg」(一般名:シナカルセト塩酸塩)は、二次性副甲状腺機能亢進症治療薬。カルシウム受容体に直接作用する特徴を持つことから、骨痛や関節痛の軽減のみならず、異所性石灰化による心血管系障害の発症、進展の阻止が期待できる。
【タルセバ錠:中外製薬】
「タルセバ錠25mg、同100mg、同150mg」(一般名:エルロチニブ塩酸塩)は、切除不能な再発・進行性で、化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌を適応とする分子標的治療薬。作用はEGFRチロシンキナーゼ阻害。
海外の第III相試験では、タルセバ群はプラセボ群に比べて有意に生存期間の延長が認められ、国内第I相、第II相試験では日本人における有効性、忍容性が確認された。ただ、重篤な副作用として間質性肺炎等も報告されていることから、承認条件として3000例の全例調査が義務づけられている。
1日1回、食事の1時間以上前か食後2時間以降に投与。
【クラリチン錠、同レディタブ錠、同ドライシロップ:シェリングプラウ、塩野義製薬】
クラリチン錠10mg・同レディタブ錠10mg、同ドライシロップ1%(一般名:ロラタジン)は、季節性・通年性のアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒などの皮膚疾患に伴うそう痒に効果をもたらす抗ヒスタミン剤。今回、7歳以上の小児への適応追加が承認された。
同剤は、眠気、集中力、学習能力に影響を及ぼす鎮静作用の少ない抗ヒスタミン剤で、就学児童に対しても、成人同様の優れた有効性と安全性が確認されている。
さらに今回、3歳以上の小児適応を含む小さな子供にとって飲みやすい「クラリチンドライシロップ1%」も承認された。
【サラジェン錠:キッセイ薬品工業】
サラジェン錠(一般名:ピロカルピン塩酸塩)は、口腔乾燥症状を改善する唾液分泌促進剤。シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善に対し、効能追加が承認された。
同剤は、唾液腺内のムスカリン受容体を刺激し、生理的な唾液分泌を促進することで、口腔乾燥症状を改善し、患者のQOLを高める。国内でシェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状を改善する薬剤は2番目の登場となる。1日3回食後に経口投与。
【プラビックス錠:サノフィ・アベンティス】
プラビックス錠25mg、同75mg(一般名:硫酸クロピドグレル)は、虚血性脳血管障害後の再発抑制目的で投与される抗血小板剤。今回、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される急性冠症候群への承認を新たに取得した。今年5月には、心臓領域の適応追加を申請し、優先審査品目に指定されていた。
【レベミル注:ノボ ノルディスク ファーマ】
レベミル注300、同300フレックスペン(一般名:インスリンデテミル)は、ほぼ1日にわたって血糖降下作用が持続する持効型溶解インスリンアナログ製剤。全ての成人・小児糖尿病患者に投与でき、経口糖尿病薬や超速効型インスリンアナログ製剤との併用も可能である。
同剤は、血糖降下作用のバラツキが少なく、空腹時血糖値を安定させる特徴を持つことから、臨床試験でも夜間低血糖の発現リスクの軽減が確認されている。年内に上市の予定。
【ディナゲスト錠:持田製薬】
ディナゲスト錠1mg(一般名:ジエノゲスト)は、プロゲステロン受容体に選択的なアゴニスト作用を示す経口子宮内膜症治療剤。卵巣機能の抑制、子宮内膜細胞の増殖抑制によって有効性を示す。1日2mgを2回に分け、月経周期205日目より経口投与。
【アラノンジー:グラクソ・スミスクライン】
アラノンジー静注用250mg(一般名:ネララビン)は、再発・難治性のT細胞急性リンパ性白血病、T細胞リンパ芽球性リンパ腫治療剤。単剤で有効性が認められた初めての薬剤で、海外臨床試験の成績に基づいて承認された。国内では第I相試験を実施中。