個人が開業する医師の手取り年収は平均1070万円‐‐との調査結果を、日本医師会がまとめた。日医は、「中小企業の経営者や金融・保険業の部長クラスとほぼ同水準であり、事業リスクなどを考慮すれば、所得がかなり高いという評価は適切ではない」と反論した。
調査は、北海道札幌市、東京都板橋区、山口県、鹿児島県の医師の2006年分の所得を対象に行い、537人から回答を得た(回答率35.1%)
中央社会保険医療協議会が医療従事者・医療施設の経営実態を調べる「医療経済実態調査」(05年6月時点)では、個人開業医の収支差額は2744万円だった。しかし日医の調査では、55059歳(開業医の平均年齢が59歳のため)のデータを当てはめ、収入から社会保険料や税金、設備投資借入金の返済などの支出を差し引きすると、手取り年収は1470万円。全年齢平均は1070万円だった。
厚生労働省の統計を用いて勤務医と比較すると、個人開業医が数百万円高いという結果が出たが、日医の中川俊男常任理事は「経営リスク、負債を抱えて、この程度の差では多いと言えないと思う。開業医が突出して多いということもない」と説明した。
世間が思うより少ない年収となったが、「お金持ち」のイメージは根強い。その点、中川常任理事は「マスコミが作り上げた面もあるし、一部の目立つ人もいるからでは。20年前は羽振りは良かったこともあったが、今はとても大変」と現場を代弁した。