富士経済の調査によると、ウイルスなど感染症関連検査市場が横ばいで推移している中で、検査キットにより直接、簡易に菌種を同定できる「細菌ダイレクト検査」市場が著しい成長を遂げている。2007年の市場規模は24.7億円で、感染症関連検査全体の3%程度だが、11.3%の伸びが見込まれており、引き続き新製品の投入が相次いでいることから、「今後もますます市場が拡大していくと予測される」と分析している。
調査は608月にかけ、専門調査員による関係企業への取材、公的データ、公表資料などの文献調査に基づいて行われた。
同社によると、細菌ダイレクト検査市場の伸長は「インフルエンザ抗原の検査キットが発売され、瞬く間に100億円強の大ヒットとなったことがきっかけ」という。これまで自施設で検査を行うことがなかった診療所などが実施するようになり、その場で結果を患者に伝えられる点が評価された。
その波及効果で「A型レンサ球菌をはじめとする検査キットが伸びている」とし、06年度は18.7%増の22.2億円となった。07年にかけても、各社がA型レンサ球菌、レジオネラ、C・ディフィシルなどの細菌に対する新製品を投入しており、引き続き二桁の伸びを予測した。
そのほか、肝炎ウイルス検査市場は「ほぼ飽和状態」と指摘。今後は、特許切れ製品に伴うシェア獲得競争が激化するとの見方を示した。07年度の市場規模は1.7%増の256億円と見込んだ。
なお、調査結果は「2007感染症診断市場」にまとめられ、同社から10万5000円で販売されている。