厚生労働省医薬食品局は、国際共同治験を推進するため、実施のポイントを示した「国際共同治験に関する基本的考え方」をまとめた。国内企業による海外との同時開発を確実に実施できるようにすることで、海外で先行して販売されがちな新薬を、日本でも海外と同時に使えるようにすることを目指す。
まとめられた基本的考え方は、同局審査管理課長から都道府県、日本製薬団体連合会に通知された。医薬品医療機器総合機構がこれまで開発企業から受けた個々の相談事例などを踏まえ、国際共同治験を計画・実施する際に留意すべき点を示したもので、▽国際共同治験を実施する上での基本的な要件▽グローバル開発に参加すべき時期▽日本人での第I相試験や日本人での薬物動態情報の必要性▽検証的な第III相試験から日本人を組み入れるという開発計画について▽症例数の設定及び日本人の症例の割合の決定””などをQ&A形式で示している。
課題となっている第I相試験については、海外で実施された第I相試験の結果から日本人に対する安全性を判断することが可能な場合や、類薬での状況等から日本人と外国人における推奨用量が同様と判断できる場合、「必ずしも国際共同治験開始前に(日本人での)第I相試験を実施する必要はない」とした。
また、海外臨床試験成績に基づいて用量設定を行い、国内での用量反応試験を実施せずに、検証的な第III相試験から日本人を組み入れるという開発計画については、人種差による体内動態の違いや外国人推奨用量が日本人も同様とはいえないとして、原則としては「適切ではない」との見解を示した。
基本的考え方は5月2日まで行われたパブリックコメントの結果を受けてまとめられた。寄せられた意見に基づき、「全集団の結果と日本人集団での結果に一貫性が得られるよう計画すべき」であることや、参考として示された日本人症例数を20%程度確保する事例について、この場合の全体の試験規模を「数百例程度」と例示することなどが追記された。