CRO大手のイーピーエス(EPS)は1日、EDCシステムを手がける米メディデータと非独占的な業務提携を行い、メディデータのEDCシステムで欧米で広く使われている「Rave」を用いた臨床試験受託サービスを提供していくことになった。同システムの欧米での実績を生かし、主にアジア共同治験の受託で活用を提案していく。同システムの活用は他のCROも提案しているが、この提携はEPSがメディデータから技術移転を受け、システム設計から臨床試験・承認申請支援まで一貫したサービスを提供できるようしたのが特徴だ。
今回の提携は、今後の需要増を見込んで、アジアを含む国際共同治験の受託体制を強化してきたEPSと、アジア展開を狙っていたメディデータの思惑が一致したもの。7月から技術移転を進めてきており、サービスは提携した1日から、EDCを用いたサービスを提供するEPS子会社の「イートライアル」を通じて、提供できるようになった。
「Rave」は、日本を含む70カ国で展開。契約実績は急速に伸びてきており、2006年度は1億2800万ドル。同システムはコロンビア大学の医師らが開発したもので、現場での使いやすさへの配慮がなされている。独自の翻訳機能を内蔵していることから、言語が異なるチームでもデータを閲覧できるマルチ言語対応であることも、国際共同治験に向いていると、他のCROや製薬企業からも評価されている。
EDMSというEDCシステムを持つEPSは、国際共同治験受託では「Rave」に軸足を移して提案していくことになる。
イートライアルの今村久雄社長は、「単にRaveを製薬企業に紹介するだけでなく、設計から承認申請まで一貫したサービスができるというのは、製薬企業側からすると助かると思う」と話す。
メディデータ日本法人の山本武ジャパンセールス&マーケティングディレクターは、「アジアのマーケットでトップシェアをとりたい」と抱負を語った。