2006年4月に実施された薬価改定が今後も継続された場合、国内医薬品市場は2025年でも6.6兆円と06年と比べ2000億円の成長にとどまることが、日本製薬工業協会の医薬産業政策研究所の試算で分かった。
政策研の前主任研究員の藤原尚也氏と主任研究員の笹林幹生氏が試算したもので、「製薬協ニューズレター」5月号に掲載された。試算の前提は、[1]新薬評価ルールの見直しで新規収載薬価が現状より5%高くなる[2]既収載品の改定は2年ごとに先発品6%、後発品12%引き下げ[3]長期収載品の特例引き下げ率8%拡大に伴い、上市11年目の製品4%引き下げ(半数の製品が対象)。
試算によると、国内医薬品市場は06年6.4兆円に対し、10年は6・5兆円、15年は6.8兆円、25年は6.4兆円となり、ほとんど成長しないことが判明した。
上市10年以内の医薬品に限ってみると、06年1.5兆円に対し、25年には1.8兆円だった。
報告では「現状より5%程度の新薬の薬価を引き上げたとしても、市場の成長は限られている。長期収載品の特例引き下げだけでなく、新薬の補正加算の要件緩和、加算率の引き上げも加味した結果だが、「新薬の薬価算定上の評価を大幅に向上させない限り、国内医薬品市場の成長は中長期的には見込めないといえる」と指摘している。