発足した福田内閣に対し製薬業界は、小泉、安倍の両内閣で継承されてきた経済成長戦略による医薬産業政策への影響を読みかねている。
自公連立政権合意では成長戦略の継続、財政再建に向けた方針を進めるとしているが、基礎年金の国庫負担引き上げに加え、高齢者医療費の窓口負担の引き上げ凍結も検討することになり、税制、予算、法律が絡む重い案件がのしかかってきたからだ。福田首相は、社会保障制度の一体的総合的見直しも、再任した舛添厚労相に指示している。
いずれの課題も大きく、どう影響するか、複数の業界関係者は一様に「分からない」と読みあぐね、厚労省OBは「産業政策の地位は後退することはないはず」としつつも、「省内では産業政策に十分に目を配れない状況になるのではないか」と話す。
相次いで報道された研究者の公的研究費の不正受給、それ付随したメーカーから寄付金の問題は、マイナス材料と見る向きもある。
日本製薬団体連合会の森田清会長は25日、新政権に対し「[1]世界における日本の位置づけの明示[2]社会保障制度の安定策[3]国益に適うイノベーションの集中促進策、について国民に説明し、空白を取り戻し、政治の実現力を示してほしい」とコメントした。