厚生労働省は新医薬品9成分14品目を、21日付で薬価基準へ追補収載する。内訳は内用薬4成分8品目、注射薬2成分3品目、外用薬3成分3品目。今回の算定では、他に類似薬がないことから、メタストロン注とベセルナクリームに原価計算方式が適用されたほか、ジェニナック錠、エスラックス静注に有用性加算(II)、トピナ錠、トラバタンズ点眼液に外国平均価格調整による引き上げがそれぞれ適用された。収載される新薬は次の通り(文中の「市場規模」は企業の予測で、人数は患者数、金額は販売高)
◇トピナ錠50mg、同錠100mg(協和発酵):てんかんの部分発作治療剤。脳神経の興奮を鎮めるという既存の効果に加え、てんかん発作のきっかけとなるAMPA受容体にも作用するのが特徴。効能・効果は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(2次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」
市場規模は初年度0.2万人で3.8億円、ピーク時の10年目が3.4万人で63.9億円。
◇セララ錠25mg、同錠50mg、同錠100mg(ファイザー):選択的アルドステロンブロッカーという新しい作用の降圧剤。アルドステロンは、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最終生成物で、水、電解質の調節に関与し、心疾患のリスクファクター。その働きを受容体で直接ブロックすることで、効果を発揮するのが特徴。効能・効果は「高血圧症」
市場規模は初年度3.4万人で6.9億円。ピーク時の10年目が45万人で185.6億円。
◇シングレア細粒4mg(万有製薬)、キプレス細粒4mg(杏林製薬):105歳の乳幼児の気管支喘息の長期管理薬。苦みがなく、口の中ですぐに溶け、水なしで投与することができるように工夫したもの。これまでに成人用、6歳以上の製品があったが、新たな剤形の追加によって1歳以上の全年齢層で使えるようになった。
市場規模は初年度が2.5万人で25億円、ピーク時の8年目が16.7万人で164億円。
◇ジェニナック錠200mg(富山化学工業):ニューキノロンタイプの合成抗菌剤で、従来とは異なり、キノロン骨格の6位にフッ素原子を持たない新規構造の抗菌剤。幅広い抗菌作用を持ち、ペニシリン耐性肺炎球菌などにも有効。経口吸収性や組織移行性に優れているとされ、1日1回の経口投与で効果を発揮する。 市場規模は初年度が100万人で37.3億円。ピーク時の5年目が430万人で160.5億円。
◇エスラック静注25mg/2.5mL、同静注50mg/5.0mL(日本オルガノン):麻酔時の筋弛緩、気管挿管時の筋弛緩を効能・効果とするもの。従来品は効果発現までに304分程度だが、同剤はそれを40秒あまり短縮するなど、作用発現時間が短いため、気管挿管をスムーズに行え、リスク軽減も期待される。
市場規模は初年度が12万人で2.1億円。ピーク時の8年目が144.8万人で25.1億円。
◇メタスロン注(ジーイーヘルスケアリミテッド):放射性同位元素(RI)の一種であるストロンチウム‐89から放出されるβ線を、癌の骨転移部位を選択的に照射することで、骨転移による疼痛緩和効果を発揮する薬剤。
市場規模は初年度が25人で0.1億円。ピーク時の7年目が1460人で4.7億円。
◇トラバタンズ点眼液0.004%(日本アルコン):緑内障と高眼圧症治療薬。防腐剤として通常の点眼剤に使用されている塩化ベンザルコニウムを含有しない初のプロスタグランジン系製剤。
市場規模は初年度が1.6万人で6億円。ピーク時の7年目が16.8万人で100億円。
◇ディビゲル1mg(ポーラファルマ):ゲルタイプの更年期障害治療剤。大腿部や下腹部に塗る。1日1回分のスティック包装で、コンプライアンスの向上が期待できる。
市場規模は初年度が1200人で0.2億円、ピーク時の4年目が1.17万人で2億円。
◇ベセルナクリーム5%(持田製薬):尖圭コンジローマを効能・効果とする新薬で、これを効能・効果とする薬剤は国内で初めて。
市場規模は初年度が5000人で1.7億円、ピーク時の3年目が3.2万人で10.9億円。